感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寛生
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【図書館】「子供の時の他は希望を持って生きた事がない」と言った大江。死から渇望が見えてき、生へと移る江藤淳。ランボーとの出会いに自己の最高を投影させることによって表現の願望が湧き上ってきた小林秀雄。人間が堕ちていくからこそ作家はペンと紙だけを拠り所としていかなる苦痛にも忍耐を重ね、自らを救済していく道を歩み続ける。〈カタチ〉がないその苦悩に満ちたその作家の〈文体〉が誕生するまでには、ただならぬ苦闘と暗中模索がある。そしてそれは一生涯を通じての作家に課せられた使命なのだろうか。2014/03/03