内容説明
「あいつは、どうせ足軽の子さ」障子越しにふと耳に入ってしまった一言。それは、かけがえのない師匠とあがめた武市半平太から発せられた。そこから以蔵の呪いは始まったのだろう。土佐郡江ノ口村に生まれ育った岡田以蔵は、その暗く澱んだ翳から逃れることができなかった。人斬りという血の紅色で青春を塗りつぶす以蔵。だがその一つの人斬りのさなかで惹かれあった女がいた。主従の関係を叩き割った友・坂本龍馬との出会い、そして別れ。奇跡的な再会がもたらした公儀軍艦奉行・勝麟太郎の暗殺阻止によって以蔵の生は瞬転したかに見えたが。刻、幕末。稀代の暗殺手・人斬り以蔵の拭い去れない悪と生を描いた一編。
著者等紹介
柏木龍世[カシワギリュウセイ]
日本大学商学部卒業後、一般企業へ勤務。後に料理人を目指し転職。途中、戦国末期より伝わる煎茶道に入門し、更に室町時代より続く古流剣術を修行する。様々な文化活動を展開しながら、幕末史に触れ研究を開始。同じく作家活動に入る。斬新な視点から幕末史を斬り、新時代の幕末小説を執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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