内容説明
本書は、まず、日本国憲法下における、「国民」概念および「国籍」概念の意義と限界を探り、「国民」概念と密接なかかわりをもつ「市民」及び「市民権」の概念を、歴史的な形成過程、社会学理論、ならびにそれと相互にかかわりつつ形成されてきた法的な意味での「市民」及び「市民権」概念について考察する。この両概念を、イギリスを比較対象国として、ヨーロッパレベルの視点も取り入れながら検討したうえで、国際人権規約自由権規約という「市民」概念の可能性を、近時主張されつつある「市民主権」論との関連も考慮に入れて考察する。そして、日本国憲法の解釈論とのかかわりを、シチズンシップと居住移転の自由、並びに、地方自治の性質論、とくに「住民自治」の意義を再検討する中で提示しようとする。最後に、筆者の現段階における憲法解釈論の提示を簡略に行う。
目次
第1部 憲法における「国籍」と「日本人」―「国民」概念の限界
第2部 「市民」概念の再検討―「シチズンシップ」論の批判的考察
第3部 イギリス法における「国籍」と「市民権」
第4部 国際人権規約における「市民」と市民概念の可能性
第5部 地方自治体における「参政権」
結論 地域的市民権と憲法解釈
著者等紹介
佐藤潤一[サトウジュンイチ]
1972年東京生まれ。2003年3月専修大学大学院博士後期課程修了(博士(法学))。現在、専修大学大学院任期制助手・専修大学社会科学研究所特別研究員
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