内容説明
「議会の承認なしに、このようなことはできません。法に反します。わたしは夫を公爵にすることはできます。それ以上のことはできません」ノーサンバランド公爵の顔が真赤になった。ジェーンは、自分の意志に反して女王にした権謀術数の公爵を赤面させた。エリザベス女王の前に前に、九日間だけ女王になった、十五歳のジェーンとは、どんな少女だったか。1987年度カナダ総督賞受賞作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
帽子を編みます
64
ナショナル・ギャラリーの目玉の一つ「レディ・ジェーン・グレイの処刑」、レディ・グレイの生涯を書いた本です。児童書なので主人公ジェーンが知的で穏やか高潔な欠点のない人物として描かれています。歴史の本では一行程度で済まされるようですが、あの絵を見るといろいろな思いがよぎります。ジェーンの父母の権力への野心に翻弄された人生、愛する人とは引き剥がされ望まない結婚、望まない戴冠、希望を打ち砕く裁判、処刑。気高く最期の日を迎えます。物語の理解を助けるために登場人物の関係がわかる系図があったら良かったと思います。2022/06/22
かぎしっぽ
7
レディ・ジェーン・グレイについて。全く知らなかったんですが、舞台のモデルということで興味を持ち読んでみました。児童書だし簡単に読めるだろうと思いきや、歴史やイギリスの時代背景に疎いため前半は苦戦。が、ジェーンの人生が自身の意志とは無関係に、「賽は投げられた」の言葉ひとつで周囲の人間の欲望や策略により翻弄され、失われる様は読んでいて辛かった。彼女の存在を知ることができてよかった。2014/02/11
Mana
4
レディ・ジェーン・グレイの物語。ヘンリー八世の妹の孫娘でエドワード王の死後メアリ女王の前に九日間だけ王位についていた。この時代はブーリン家の姉妹で読んだけど、こっちの本はもうちょっと健全(?)な感じ。ジェーンが素直な良い子なので物語もそんな感じになってくる。児童書だし。物語は良かったけどある程度の予備知識がないと辛いかも。エドワードが二人(エドワード王とシーモア)出てきて混乱する。2012/05/18
lorca
3
周囲の大人達や両親の欲深い陰謀、その時代の2つの宗教、そしてヘンリー8世の妹であった祖母を持つ母から生まれたがばかりにわずか15歳で9日間の英国女王となったジェーン・グレイ。そしてまもなく断頭台の露と消えたジェーン。彼女の真摯な心の叫びに胸うたれた。これは児童書とのことだが、チューダー朝初心者の私にはその当時の歴史背景を知るのにとても役立った。ただし、フランスの画家Paul Delarocheの描いた悲劇ではあるが崇高的なイメージが感じられるジェーン処刑の絵とはかなりかけ離れた本書の装丁は残念。もう少し事2011/08/28
888
2
ジェーンや妹たちに対する両親の仕打ちに唖然とした。こんな親を持ったジェーンがこれだけ聡明で正直であることに驚いてしまう。2014/02/17