内容説明
2007年~2009年に連載されたコラム141本。
目次
心映えの美しさ…というものがある
現実を忘れさせてくれるもの
やがて哀しき雑誌作り
少年の黒く艶やかな瞳
なんと魅力的な普通の人々
楽してズルして生きていけるか?
ローレン・バコールの瞳
年月を重ねて見えてくるもの
彼女が強く求め続けたもの
ゴーイング・マイ・ウェイやで〔ほか〕
著者等紹介
十河進[ソゴウススム]
1951年、香川県高松市に生まれる。1975年、中央大学文学部フランス文学専攻を卒業後、出版社に勤務。8ミリ専門誌、カメラ専門誌、ビデオ専門誌、広告写真専門誌、デジタルデザイン誌などの編集を経て、2003年より総務経理課に移動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
24
十河進という人の持つ熱さについて考えさせられた(実際に「瞬間湯沸かし器」というあだ名で呼ばれていたころもあるそうだが)。ニヒル/シニカルに、傷つかないように卒なく振舞おうとするイヤミな素振りは見せない。むしろ愚直に対象と対峙し、そこから自らの人生哲学へとつなげていく。映画によって絶えず自分の思考をヴァージョンアップさせてきた人ならではの安定感が心地よい。3年というスパンが収められているこの本でも、常にブレなさを発揮し信頼できる。成功した人ではないかもしれない。だが、このダンディズムを見習いたいと改めて思う2022/02/09
踊る猫
21
興が乗るまでは舐めるように少しずつ読んでいた。それで充分楽しかったのだけれど、一旦活字が頭に入らない状態に陥り、鬱状態で今後の自分の行く末について考えていた時に本書を繰り、そこから読書を再開することが出来た。威張らず、なにも名を成さなかった男の立場から語られる活字と映画について。その愛情と知識は例によって半端なく、どんな題材もザ・スミスの音楽のように巧みに一編のコラムになってしまう。変化がない、ということはややもすると成長もないという意味合いに取られかねない。だが、ここまでのブレてなさは天性の資質なのか?2019/10/01
踊る猫
19
様々な角度から著者は映画について語り、人生について語る。悪く言えば一本調子なところがある。だが、ここまで分厚いボリュームの本をそうして一本調子で読ませるところ、芸があるとも言えるのでもどかしい。読み込むにつれて、コラムの旨味に唸ることになる。映画評論、というにはやや著者の私見が入りすぎている(あるいは実存と映画評論の切り離しが失敗しているとも思う)のだけれど、それでもここまで知識を披瀝し様々な角度の思索を語れるところはインテリジェンスを感じる。いったいこの著者、どう映画を観ているのだろう。なかなか奥が深い2022/11/08
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- 和書
- 自宅で迎える幸せな最期