内容説明
科学技術社会と呼ばれる現代において、科学・技術は社会に福音をもたらすばかりではなく、大規模な事故や悲惨な事故の原因にもなっている。コロナ禍にどう対応するか、日本学術会議の問題、原子力・AI(人工知能)などの科学技術とどう向き合うか…同時代の動きを科学の目線で見つめ、解決のヒントを探る。次代の科学者たちに向けた講演録も所収した、バラエティ豊かなエッセイ集。
目次
1 コロナ禍にどう対応するか(流言蜚語;ショック療法 ほか)
2 日本学術会議の問題(日本学術会議会員発令拒否事件;日本学術会議と軍事研究 ほか)
3 科学を志す若者へ 講演録(進展する軍学共同と子どもの未来;全科目への架け橋としての国語 ほか)
4 社会とシンクロナイズする科学(科学・技術の報道に期待すること;科学者の倫理と役割 ほか)
5 科学アラカルト(ホーキングの賭け;アインシュタインの教育論 ほか)
著者等紹介
池内了[イケウチサトル]
1944年、兵庫県生まれ。宇宙物理学、科学技術社会論。総合研究大学院大学名誉教授、名古屋大学名誉教授。『お父さんが話してくれた宇宙の歴史』(全4巻、岩波書店)で産経児童出版文化賞JR賞、日本科学読物賞、『科学の考え方・学び方』(岩波ジュニア新書)で講談社科学出版賞、『科学者は、なぜ軍事研究に手を染めてはいけないか』(みすず書房)で毎日出版文化賞特別賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
34
中日新聞20年7月4日初出「複合災害」の時代で、コロナ禍で原発震災、気候異変(32頁)と相乗的なカタストロフィ。特に、三密回避の困難さ。避難所での感染リスク。台風コロナ、洪水コロナ、震災コロナ(34頁)と悲劇が重なるケースを想定して避難生活を強いられるのだろうか。これが波及していくと、21年1月に池内先生が書かれた、コロナ危機、コロナ失業、コロナ差別、コロナバブル、コロナ疑惑、コロナ鬱(40頁)といった社会問題が新たに生じていく。2021/08/30
tokko
12
非常にためになりました。自分自身は研究者ではないので新しい科学技術を開発する立場にないけれど、その科学技術を使う市民の立場として襟を正すべきだと考えさせられました。池内先生が「科学を軍事目的に利用するな」と述べるときの力の入りかたが強かったのが印象に残ります。しかし日本学術会議の任命拒否問題は他の本でも読んだけれど、「知らなかった」では済まされない根の深さを感じます。けれどメディアはコロナばかりで、任命拒否問題はほとんど取り上げられていなかったように思います。2021/12/27
Go Extreme
2
コロナ禍にどう対応するか:流言蜚語 ショック療法 何が不要不急なのか 医療専門家の限界 複合災害の時代 日本学術会議の問題:日本学術会議会員発令拒否事件 日本学術会議と軍事研究 科学者のノブレス・オブリージュ 科学を志す若者へ:進展する軍学共同と子どもの未来 全科目への架け橋としての国語 科学のいまを考える 社会とシンクロナイズする科学:科学・技術の報道に期待すること 科学者の倫理と役割 AIの命じるままに 性差より個人差 科学アラカルト:ホーキングの賭け アインシュタインの教育論 科学から見た芸術2021/06/28