内容説明
保育所をめぐる状況が急転している。公立保育所の民営化・民間委託、企業参入、公私間格差是正制度の見直し等々。政府が進めようとしている保育制度改革のポイントは、公的な保育制度を解体し、市場ベースの保育制度に変えることである。保育所をめぐって一体何が起ころうとしているのだろうか。保育所で働いている人、保育所を利用している保護者、保育運動に携わっている人々、そして保育所に興味を持っている多くの方々が、事態を正確に理解できるように本書は、まとめられた。
目次
第1章 保育制度改革の現段階―待機児ゼロ作戦がもたらすもの(待機児ゼロ作戦が保育制度改革の牽引車;企業参入の障害をどう取り払おうとしているのか ほか)
第2章 公立保育所の民営化、問題の本質と運動を進める視点(公立保育所の民営化とは何か;コスト論の根本的な誤り ほか)
第3章 保育への企業参入、問題の本質を解く(保護者の所得で保育に格差が発生する;保育士の雇用が不安定化する)
第4章 公的保育制度をどう発展させるべきか(保育所と保育運動にかせられた課題;保育所建設の大運動を展開しよう ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Takao
2
2002年8月10日発行(2002年12月10日、初版第2刷)。2001年、小泉内閣の下で「待機児ゼロ作戦」が決定された。本書は、二宮厚美流にいえば、待機児という「トロイの木馬」を使った保育制度改革について分析し、保育運動が進むべき道を提言している。本書発行時点では、まだ限られていたようだが、20年近く経った現在、横浜では株式会社経営の認可保育園が溢れている。それだけ保育事業参入のハードルが下げられてきたということだろう。そんな時代に社会福祉法人の保育所はどうあるべきか、次は最新の保育情勢を読んでみたい。2020/05/25