内容説明
昭和二十年八月十五日、天皇がポツダム宣言を受諾して、全戦線の戦闘停止を命じたにもかかわらず、中国の華北方面では、その後約八カ月も戦闘が続けられました。そのため実に五万人もの戦死者が出ました。インパール作戦やガダルカナルの悲劇をはるかにしのぐ犠牲です。著者の兄も犠牲になった兵士の一人ですが、なぜそんな奇怪なことが起こったのか、いったいなんのために戦ったのか、そういう謎をとくのがこの本書の眼目です。
目次
1 岡村寧次を知っていますか
2 陸士の三羽烏
3 武漢攻略
4 三光作戦―悪魔の饗宴
5 知られざる大敗北
6 降伏前後
7 無意味な戦い
8 戦犯
9 陸軍大将の仮病?
10 「私は幸運児」
11 晩年―帰国後の軌跡
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MIRACLE
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デクスターの最終巻で本書の存在を知った。岡村寧次は1944年から敗戦まで支那派遣軍総司令官として105万を指揮した軍人だ。本書は戦中戦後の岡村の行動を批判的に検証している。しかし感情が理性に先行しているため、不満の内容だった。まず中国での戦後戦死者5万人についての調査が不十分だ。とくに1万8千人ともっとも数が多い「其ノ他」の実態だ。つぎに岡村の詐病疑惑を医師の「心証」の一言で片付けていることだ。しかし岡村が国民政府と連携し、共産軍との戦闘状態を放置した結果、多くが死んだことは銘記しておきたい(74頁)。2012/02/13
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