内容説明
新宿西口地下広場にフォークゲリラがいた。“若者の叛乱”から一九七〇年代へ。映画『地下広場』から徹底的に読み解く一九六九年という転回する時代。
目次
はじめに 地下の広場から見る一九六九年
一九六九年―“場”をめぐる闘争
インタビュー フォークゲリラは終わらない―新宿西口地下広場とドキュメンタリー映画『地下広場』
『機動隊ブルース』の頃
フォークゲリラがいた
映画『’69春~秋 地下広場』採録シナリオ
しかし、歌声と討論は残った―映画『地下広場』
反骨の映画監督・大内田圭弥
大内田圭弥主要監督作品目録
フォークゲリラは終わらない〔ほか〕
著者等紹介
大木晴子[オオキセイコ]
1948年秋、東京生まれ。高校卒業後、友人たちと「日野ベ平連」を作りデモに参加。1969年2月から新宿西口地下広場でフォークソングを歌いながらベトナム戦争反対の意思表示を始める。翌年、保育学校へ入学。卒業後、教会付属幼稚園で十数年間勤務。その後、家事専従。イラク戦争が始まった2003年の2月、再び新宿西口地下広場で毎土曜日に反戦の意思表示を始めた
鈴木一誌[スズキヒトシ]
1950年生まれ。ブックデザイナー。映画・写真批評も手がける。81年、映画批評で第一回ダゲレオ出版評論賞受賞。雑誌『d/SIGN』を戸田ツトムとともに責任編集(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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takao
2
ふむ2023/03/26
majiro
2
うわ〜。うわ〜。もう、ずーっと議論、いちゃもん、歌、の繰り返し。おしゃべりの下手そうなおじさんを、くどくどとやり込めてる若者。そういうのがどうしても目立っちゃう。報道側の興味がそういうのだったということかなと、最近は思ったりする。2014/12/25
hiratax
1
小熊英二の「1968」の高校生闘争の章を呼んで拍子抜けしたのは、闘争の内容が権利要求のちょっと激しい生徒会活動みたいなものだったこと。これは現在も上位の学校で続いていること。生徒総会が質問だらけで流会したり、高度な自治が実現したりと。本書も、ゲリラ的といいつつ、スクウォッティング的なものとはほど遠い健全なもの。今よりも社共革新的な価値観が広く共有されていたというくらいにしか見えない。2014/08/16
まんだよつお
0
圧巻は付録のDVD。広場とは本来、さまざまな意見や考え方を持った不特定多数の市民たちが、自由に討論できる場所のはず。それを20世紀末の日本で、ほんの短い期間ではあるものの実現できた奇跡。映像に刻み込まれた「ウイ・シャル・オーバーカム」「友よ」の唄声と、市民の異議申し立て、そして権力者の弾圧の記録。広場と市民へのトリビュート、手塚治虫「がらくたの詩」も読んでください。2014/12/12
0
新宿西口の騒ぎについては有名な割に資料が少ないと思う、この本はその様子を撮影した映画のDVDが付いてくる。それで2019年に買ったんだと思う。この頃は儀礼的無関心が今ほどではなかったんだろうか。この頃の草の根、ボトムアップ的な学生運動が結局あまり何も勝ち取れなかったことと、政治的主張が先鋭化したことは、今にも禍根を残している気がする。それと、銀座に座り込む人もそうだが、日本の広場は行政がここ!と指し示して作られるのではなく、やはり自然発生的に人間が集う場所が広場という気がした。2024/06/24