S先生のこと

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  • サイズ B6判/ページ数 285p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784880084374
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0095

内容説明

スタイロン、オコナー、フォークナー、メルヴィル―自身の運命に重ねて信仰を見つめたアメリカ文学者、須山静夫との間に流れた師弟の静かな時間。重奏しながら遡る、喪失の記憶。31の連作エッセイ。

著者等紹介

尾崎俊介[オザキシュンスケ]
1963年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科英米文学専攻後期博士課程単位取得。現在、愛知教育大学教授。専門はアメリカ文学・アメリカ文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ソングライン

16
アメリカ文学を学ぶ大学生の作者が、ゼミの指導教授から講義に出るように勧められた須山静夫先生(S先生)の出会いから、その死までの二十数年にわたる親交を綴ったエッセイです。メルヴィルのクラシルの翻訳に関わる激論、60才を過ぎてもヘブライ語を学び旧約聖書を原語で読もうとする探究心、大恋愛をして結ばれた最初の妻とその息子を失った贖罪、そんな巨木のようなS先生に対する尊敬と愛、そして年の離れた親友のような師を失った喪失感、人生のなかのこんな素晴らしい出会いに涙しました。2021/04/08

おおにし

16
少し前に河野通和著「言葉はこうして生き残った」を読んでいたら、フラタニー・オコナーの小説を講義中に英文学の先生が突然学生に雷を落とす話が出てきた。その先生がS先生こと須山先生だったのだが、実は私も大学1年の時、英語の授業でオコナーの小説を読んでいて、アンチョコに買った新潮文庫「オコナー短編集」の訳者がなんと須山先生であることを知って驚いた。須山先生の人生はご自身がヨブに喩えるくらい悲惨なものであったが、一生を英文学研究に捧げた真摯な生き様を本書で知り、感動するとともに須山先生と私の縁を感じた次第。2019/07/18

timeturner

7
こんな師に巡り合えた著者を羨ましく思うと同時に、S先生が、こんなふうに慕ってくれる教え子と巡り合えてよかったと心から思う。最終章では色々な思いがぐっとこみあげてきて涙で文字がにじんだ。読んでよかったと思える一冊。2020/12/06

パブロ

5
しんみりと心に広がる優しさと厳しさがこの本にはある。「S先生」とは英文学者・須山静夫のこと。フラナリー・オコナー『賢い血』(絶賛積読中!)の訳者と言えば、「あぁ!」と思う人も多いはず。徹底的な下調べと深い読み、英文と同じ行数、句読点で日本語に訳す熱意は、驚嘆を通り越し、恐れすら感じる。さらに、愛妻と愛息に先立たれた須山静夫の血反吐を吐くような孤独を、この本は深く掘り下げる。師として、一人の人間として対峙した筆者の愛情が胸に迫る好著。須山が訳したメルヴィル『クラレル』が読みたくなった…でも2万円は高いな〜。2013/07/03

risu

4
恩師である須山先生がなくなってからひと月で書き上げたという、出会いから最期の別れまでの思い出を綴ったエッセイ。思い出を綴ったというと軽く感じてしまうけど、圧倒的な信頼と敬愛の気持ちがにじみ出ていて引き込まれて一気に読みました。文学の研究というのはほんわかとしたイメージだったけれど、これほど厳しく自分を律して向き合うものかと知り、また、須山先生の辛い過去と向き合う姿にも心が苦しくなりました。読み終えて「畏敬の念」という言葉が浮かんできました。2021/06/15

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