ハーストン作品集<br> 彼らの目は神を見ていた

ハーストン作品集
彼らの目は神を見ていた

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  • サイズ B6判/ページ数 285p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784880082073
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

288
原書の出版は1937年。ゾラ・ニール・ハーストンは、彼女の生前はおろか、その死後も長く埋もれていた。再評価されるようになったのは、ようやく1960年代も後半になってからのようである。小説の舞台の一つ、イートンヴィルは彼女の生まれ故郷でもあるらしいのだが、そこは黒人による自治共同体が形成されていた。そのことを反映してか、彼女の描く黒人社会は何だか南部ののんびりとした風土の中に揺蕩うかのようだ。そこには表立った抵抗とか解放とかいった旗印は見られない。ジェイニーは、定めのままに、そこで生を全うしていったのだ。2016/08/09

まふ

104
米国の有力黒人作家の一人とされるハーストンの代表作。全体を通して白人の世界の普通の恋愛小説のような内容であった。批評家からは黒人としての視点、世界、思想が欠けている、として不評だったようだが、どこ吹く風、のようなさらりとした感覚で書いている。物語は黒人社会の有力者ジョディと結婚したジェイニーが夫に先立たれ年下のティーケイクと付き合うようになるが、これまた先に亡くなってしまう、という話で、これという山場も見つかりにくいストーリーだった。この「単純さ」が却ってよいのかもしれない。G678/1000。2025/01/06

NAO

75
ジェイミーの生活は、恵まれていた。祖母が仕える白人家庭では彼女のことを可愛がってくれたし、夫のスタークスも彼女に不自由な暮らしはさせなかった。だが、物理的に不自由のない生活を送るということと、精神的に自由に暮らすということは、必ずしも一致しない。確かにジェイミーは何不自由ない暮らしをしていたが、誰一人ジェイニーを一人の人間として扱ってはくれず、ジェイニーは、そのことにとても傷ついていたのだろう。当時の黒人文学は思想的なものが主流で、その先鋒でもあったリチャード・ライトは、この作者には⇒2019/04/02

花乃雪音

16
黒人女性の主人公であるジェイミーは自己実現のために生きた。それが人にとって素晴らしいものだからなどという戯画されたお題目に陥らない所に生々しさを感じた。それ故に黒人として厳しい社会に立ち向かうという印象が相対的に薄くなってしまう。リチャード・ライドの批判「テーマも、メッセージも、思想もない」は本作が黒人女性作家に求めるものを満たしていないことへの不満、作者ゾラや主人公ジェイミーを型にはめた物の見方に思えてしまう。2024/05/12

Э0!P!

5
見目麗しい黒人女性ジェイニーが主人公の小説だが、全員が白人でもそのまま成り立ちうる普遍的なテーマで、意外と他であまり目に触れないタイプの小説かもしれない。一女性として結婚相手の選択にかかる重圧の大きさを跳ね除けて、最愛の人と共に過ごす自分の人生を生き直そうとしていくなかで困難を経験していく。結末は人によっては受け入れられないものかもしれないが、ジェイニーのようによく生きた者にとっては挑戦と受容の美しい物語として決して衰微しない輝きを持ち続けるのだろう。2024/07/21

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