内容説明
20世紀を彩る天才数学者たち。彼らの非凡な頭脳とその俗物ぶりを愛とユーモアをこめて縦横に切りまくりつつ、現代数学のディオニュソス的地平を明した痛快無比のエッセイ。
目次
1 数学基礎論から見た現代数学
2 数学の天才と悪魔たち(現代とフォン・ノイマン現象;ゲーデルと古典的知のエピステメ;アンドレ・ヴェイユ―ブルバキの闘将;数学基礎論とブルバキ)
3 文化の沈澱と差異化(本格日本調演歌または無関係の恐怖;夏の終りに三つの死を思う)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nbhd
17
千鳥風に言えば「クセがすごい」。数学者・倉田先生の随筆集。これまで読んできた数学本の中では、森毅先生の本がいちばんクセがあったけど(それでいて、そこが魅力!)、この先生の文体はそれ以上だった。しかも、マルクス思想や現代思想を絡めてくるものだから、もはや読者をどこか(の理解の達成)へ連れていこうという意図もほとんど感じられない。かといって、これが嫌いかというと、そうでもなく、むしろ好きだ。戦後に活躍した数学者からすると、純粋数学から軍事数学に転向したノイマンは悪魔的存在のようで、そのディスり方が凄まじい。2016/04/06
やす
4
何となく手に取った本を購入。内容は数学の基礎とその上に構成される各分野の数学のお話。数学基礎論(論理学)の世界と普通の数学の世界の間にはギャップが存在し、普通の数学者は数学の寄って立つところには興味がないが基礎論では数学の根拠を研究する。有名な不完全性定理による普通の数学への影響は実際的には存在しない。そうは言っても一般人と数学者の間のギャップほど大きなものではない。広中平祐さんだか小平邦彦さんだかが不完全性定理についてどうしてこんなことを考えるのかわからないと言ったとか。数学者ならば当然理解はできるけど2015/11/27