出版社内容情報
こころなどというものを語れぬように高速でばくはしていくサンクチュアリであそぼうよ
聖域は
地上にあって
重力がない
そこに戯れる
ミミクリ(擬態)たちの
告白
第31回現代詩花椿賞受賞
目次
*
イヲ*
ルカリテ*
***
イヲ/(ルカリテ)**
(ルカリテ)***
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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6
遠くの光がページに降り注いでいるみたいな詩集。2019/10/25
龍國竣/リュウゴク
3
日本語はついにここまで来たのか。圧倒されるばかりで月並みな感想しか語りえない。語りえない事自体が一つの特徴のように思える。「イヲ」「ルカリテ」という固有名詞、そして表題が示すように、この到達は外来の詩の在り方があって初めてなされたものだろう。2013/11/21
刻青
2
超絶技巧。普通なら破綻しそうな言葉の響きたちだが、ときどきあらわれる殺し文句や美しい「ぼくら」の光景が、絶妙なバランスで挿入されているのでひとつの、詩としか呼びようのない空間が浮かび上がっている。詩が現実の主観の擬態に見えるような詩もあるが、これは読んでいるうちに、わたしたちが詩に擬態していくような感覚がある。絶対に知らないのに知っているような感覚。懐かしさ。開かれる限り受け取ろうとする誰かがいるもの。詩という場への限りない信頼が光っている。わたしたちはこの場所が、わからないのか眩しいのかわからない。2024/03/04
s_i
2
確定できない書き手の位置が文章のやぶれ、造語の駆使、視覚描写にしろ独白にしろ読み手の没入可能な経路の遮断によって確保されることで、限りなくばらけていく不鮮明な話者の点在と読み手から読み手へと循環的に作動する身体駆動を削がれたまま空転する認知回路(=難解さ)の二方向の準拠枠がまず与えられる。その非対称性が身体駆動を促されるまでに輪郭を回復するのはたとえばイヲ、ルカリテと呼ばれうる帰着可能な(と同時に可換的な?)名詞の作用が根底をなす、おそらく読み手と鏡像的に働くからこそ迫真になる、清潔な応答の意志による。2014/07/30
Rockwell
1
現代詩花椿賞受賞作。装丁がすこぶるお洒落。言葉1つ1つの意味を追うと迷宮入りしてゆく。視覚的に、そして言葉の音楽性を楽しむのがよいだろう。また、なんとなく、詩作の中で蠢いている小さな生き物たちの存在を感じる。この生き物たちは、草野心平の詩にも登場しそうな雰囲気がある。ひょっとしたらグリマがいるかも知れない。2014/06/05