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内容説明
どこまでも地上・地下にとどまる背理的なもの・醜く残酷なもの・動物的なもの・あからさまな物質性について考える。シュルレアリスム批判を中心に。
目次
1 バタイユ・マテリアリスト―物質の魅惑
2 バタイユ・ポリティック―運動の中へ
3 シュルレアリスム批判―異質なものをめぐって(消え去ったアメリカ;去勢されたライオン;「老錬なもぐら」と超人および超現実主義者なる言葉に含まれる超という接頭辞について;サドの使用価値;シュルレアリスムその日その日)
著者等紹介
バタイユ,ジョルジュ[Bataille,Georges]
20世紀前半のフランスの思想家・作家。人間の深部には合理性に還元されえない過剰さがあると思考し、それがどのように現れ、作用するかを、宗教、政治、経済、性、芸術等人間のあらゆる活動領域に探求しつづけた。著書に『無神学大全』、『至高性』、『呪われた部分』、『エロチスム』など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
2
シュルレアリスムが天=プラトニズムという上昇を志向しているのならば自分は地=異質学の立場を取ることが一貫している。これは、ファシズム批判も同様に、ある人物なり対象に還元されることを拒否する立場にもつながる。要するに、ある対象を何らかの超越的なものに回収され、一元化することに対して、差異のざわめきとして、内在を思考しようとする。「サドの使用価値」においては異質的=排泄物なものが実は同一性/再生産の基礎になっていることが掘り当てられており、クリステヴァのアブダクションにもつながる。2024/03/12
渡邊利道
2
吉田裕によるバタイユ論。その特異な物質論を、シュルレアリスム、コミュニズム、ファシズムとの関わりを通して論じて行く。巻末にバタイユのブルトンとの論争の文章が載っていて、その罵倒に思わず笑ってしまうが、集中「サドの使用価値」は素晴らしく面白かった。上昇と下降のメタファリカルで詩的な記述もさることながら、排泄物に関する思弁のうねるような批評性がめまいがするようでちょっとサドを読み返したくなった。2018/11/07
dilettante_k
2
「低次唯物論」から「異質学」(hétérologie)へー『ドキュマン』でのシュルレアリスム批判から、コントル・アタックの結成と失敗までにバタイユのうちに形成されていく「異質学」の試み。回収不能な「(低い)物質」(異質性)の破壊力で、世界を同質化するイデアリスムと、さらには「物質」さえも取り込んで台頭するファシスムと死に物狂いで格闘するバタイユ。ファシスムを超えて全現実を引き受け、荒れ狂う暴力によって「物質」を奪還する試みは危ういが、異質性を原理とした共同体の可能性に賭けたバタイユの存在論的問いが熱い。2013/01/14