内容説明
今世紀に入ってから、欧米を中心に盛んになっている世界文学論。そこでの重要な論点は、不思議にも、1992年に物故した作家・中上健次の問題意識と共鳴する。近年の世界文学論の知見を援用しながら、中上作品読解に新たな地平をひらく意欲的論考。
目次
序章 中上健次と「世界文学」
第1章 「岬」ならびに『枯木灘』再訪―私的空間としての路地
第2章 中期作品群の深まり―路地と脱国民国家
第3章 『地の果て 至上の時』の「再」出発―路地と資本主義
第4章 『日輪の翼』と『讃歌』の展開―路地と「世界‐文学」
終章 『異族』の限界と可能性―路地から世界へ
著者等紹介
今井亮一[イマイリョウイチ]
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。サントリー文化財団鳥井フェローなどを経て、東京大学大学院人文社会系研究科助教。専攻は戦後日本文学、比較文学、翻訳研究など。『路地と世界―世界文学論から読む中上健次』で東京大学而立賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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