内容説明
中世ロシアにおける東方正教会の精神的中心であったキエフ洞窟修道院。ここで暮らした修道士たちのエピソードを集成。神の奇蹟や聖者たちの清廉な行いばかりでなく、富や名声を求め、それに囚われた、弱き人間たちの姿をも記録する。飾らない文章のうちに深い宗教性と卓越した文学性を湛えたこの傑作。長年この作品に取り組んできた訳者の、精密かつ平明な日本語訳。
目次
父よ、祝福したまえ
ツァリグラードから教会建築の宮大工たちがアントーニイとフェオドーシイのもとに到着したことについて
いつ洞窟教会が建立されたか
教会絵師たちが修道院長ニーコンのもとへ到着したことについて
神慮めでたき洞窟教会の妙なる神の御母イコンのまえで、イオアンとセルギイの身の上に驚くべき奇跡が起こったことについて
聖なる祭壇と神の御母の大教会の聖別について
洞窟修道院の修道士ネストルの物語。なぜ洞窟修道院と呼ばれるようになったのか
五月三日同じ洞窟修道院の修道士ネストルによって書かれた、洞窟修道院長、我らが師父、神に似たるフェオドーシイの聖者伝
八月一四日洞窟修道院修道士ネストルの、われらが神に似たる聖なる師父、洞窟のフェオドーシイの遺骸の移葬についての講話
神に似たる我らが師父、洞窟のフェオドーシイの柩の縁飾りについて〔ほか〕
著者等紹介
三浦清美[ミウラキヨハル]
1965年、埼玉県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。現在、早稲田大学文学学術院教授。専攻はスラヴ文献学、中世ロシア文学、中世ロシア史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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