内容説明
あなたの文学に出会うための一冊。世界のさまざまな場所であまたの文学が生み出され、その一つ一つを大切に受けとめる人たちの営みとともに、文学の世界がかたちづくられ、はてしなくひろがってゆく。ケニア、シリア、イラン、タイ、デンマーク、アルバニアほか、多様な国の、多様な言語で書かれた小説・詩・戯曲を集めた、世界の文学/文学の世界への扉となるアンソロジー。
著者等紹介
奥彩子[オクアヤコ]
共立女子大学教授。専門はユーゴスラヴィア文学
鵜戸聡[ウドサトシ]
鹿児島大学准教授。専門はフランス語圏アラブ=ベルベル文学
中村隆之[ナカムラタカユキ]
早稲田大学准教授。専門はカリブ海文学、環大西洋文化論
福嶋伸洋[フクシマノブヒロ]
共立女子大学准教授。専門はブラジル文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヘラジカ
61
充実した内容。多くの翻訳者が携わっているようなので、この値段では安すぎると思う。ニュースですらあまり見かけない国々や所謂マイナー言語で書かれた世界文学の数々に触れられるばかりか、それぞれの文化・歴史、文学に関するキーワードについても学べてしまう。教科書としても良書。日本でもよく読まれているヴェルヌやプラトーノフ、最近の作家ならケレットや、傑作『酸っぱいブドウ/はりねずみ』が最近邦訳出版されたザカリーヤ・ターミル等々。あまり馴染みのない国とは言っても超一流の作家ばかり。アンソロジーとしてもすごく豪華。2020/04/05
かもめ通信
30
なにがすごいって、様々な国や地域の様々な言語で書かれた17作品のうち、日本の1作品をのぞくすべてが、重訳ではなく、書かれた言語から直接、日本語に翻訳されているということ!もちろん中味も面白い。2020/09/03
くさてる
21
イラン、イスラエル、ブラジル、ハイチ、アルバニア、バスク、タイ……いわゆる「西欧文学」から外れた、世界の文学短篇を集めたアンソロジー。初めて読む国の話がたくさんあって、とても良かった。政治的な内容の物から男女の話まで、内容も幅広い、そして、ここに日本代表として尾崎翠の「アップルパイの午後」が収録されてるのが嬉しかった。2020/07/25
かふ
19
欧米中心ではない「世界文学」の短編アンソロジーだが、日本代表が尾崎翠がとりあげられているのだが、日本代表というよりはジェンダー文学として「世界文学」ということだった。『アップルパイの午後』は戯曲で舞台化される予定がない「レーゼドラマ」ということだった。戯曲の形で会話劇からなる実験作という感じが、現代的のジェンダーという問いを先進的な妹と保守的な兄の会話で問うている問題劇という感じかもしれない。作品のあとにその作品のテーマを解説していて「世界文学」の変化が読める。2025/04/13
wistful
15
教科書に載っている文学作品のような程よい短さのお話が集まっていて、その短さの中にも歴史背景や風刺が描かれていて面白かった。外国の世界観を楽しめた。その国の歴史とかに詳しくないと読んでいて意味がわからない話もあったけど話終わったあとに解説してくれるから理解を深められて良かった。文学作品には作者の生い立ちもかなり影響するんだな。ヴァンダと虎と密林の紳士たちと鉄道の話が好き。2022/10/10