内容説明
「老い」は肉体的・本質的なものでなく、文化的・歴史的な概念である。だとすれば我々はどのように「老い」ていくか、すなわち「老い」の戦略をたてることができる―近年提示された新たな「老い」概念を援用しながら、「若さの国」アメリカで、作家たちがどのように「老い」を描いてきたのかを探る。
目次
アメリカ文学における「老い」の政治学―その背景と意義
老境のマーク・トウェイン―「落伍者たちの避難所」を中心に
ウォートンの過去を振り返るまなざし―最後の幽霊物語「万霊節」
活力を保ち続ける―ロバート・フロストと老いること
レトロ・スペクタクル―モダニズムの晩年とフォークナーの「老い」の政治学
「老い」の/と政治学―冷戦、カリブ、『老人と海』
時を超える女たち―ユードラ・ウェルティにおける「女たちの系譜」
メイ・サートン―老いと再生の詩学
高齢者差別社会における「老い」の受容―ジョン・アップダイクの描く「老い」
成長と老いのより糸―サンドラ・シスネロスの『カラメロ』に見るボーダーランドの精神
そして誰もが黒くなった―アリス・ランダルの『風は去っちまった』における再生の政治学