東欧の想像力
ハーン=ハーン伯爵夫人のまなざし―ドナウを下って

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  • サイズ B6判/ページ数 327p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784879842657
  • NDC分類 993.7
  • Cコード C0397

出版社内容情報

ハンガリーを代表する現代作家エステルハージ・ペーテルによる、ハイブリッド小説。黒い森(シュヴァルツヴァルト)から黒海まで、中央ヨーロッパを貫く大河ドナウ川を「プロの旅人」が下っていく。行く先々から雇い主に送られる旅の報告書は、しかし、旅行報告の義務を軽やかに無視し、時空を超えて自在に飛躍。歴史、恋愛、中欧批判、レストラン案内、ドナウの源泉、小説の起源等々を奔放に語りつつ、カルヴィーノ『見えない都市』を臆面もなく借用するなど膨大な引用(その多くは出所不明)を織り込みながら、ドナウの流れとともに小説は進んでいく……

内容説明

黒い森から黒海まで、中央ヨーロッパを貫く大河ドナウ川。その流れに沿って町から町へと移動する「プロの旅人」が、行く先々から雇い主に旅の報告書を送る。その内容は旅行報告の義務を軽やかに無視し、時空を超えて自在に飛躍。歴史、恋愛、中欧批判、レストラン案内、ドナウの源泉、小説の起源等々を奔放に語りつつ、膨大な引用(その多くは出所不明)を織り込みながら、ドナウの流れとともに小説は進んでいく…。

著者等紹介

エステルハージ,ペーテル[エステルハージ,ペーテル][Esterh´azy,P´eter]
1950年生まれ。現代ハンガリーを代表する作家。ハンガリーの名門大貴族エステルハージ家の末裔。第二次世界大戦後にハンガリーで共産主義政権が成立すると、ペーテルの一家は財産を没収され、数年間、地方に強制移住させられた。大学入学の際には、貴族出身であるがゆえの制約から人文系に進めず、数学を専攻。20代中ごろから小説を書き始め、『生産小説』(1979)が、そのポストモダン的スタイルによって賛否両論の反響を呼びおこし、一躍、作家としての地位を確立した

早稲田みか[ワセダミカ]
国際基督教大学卒業、一橋大学大学院修了。現在、大阪大学世界言語研究センター教授。専攻はハンガリー語学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かわうそ

12
最初から最後まで何を表現しようとしているのかわからなくて文字を追うだけで精一杯。章毎に独立した短篇だと思って読み出してからは少し楽しくなったけど。2014/04/08

em

10
「貴方の雇った旅人が、貴方の知らない世界をお宅までお届けします。」体裁はドナウ旅行記?ですが、完全に人を食ったような旅人の報告に「貴殿はポストモダンだ!」と怒りつつ、「送金の要ありや?」と心配する雇い主。なぜかフナを食べたがるヒトラーの小噺など、縦横無尽に繰り出される小ネタがとにかく面白く、締めは4ページの「(未)参照文献」。最後まで茶化され通し。どうもこういうことのようです。「東欧のことは東欧の人間にしかわからない。東欧人であることは、自分自身がわからないということ」2017/04/20

踊る猫

9
これはまた珍妙な書物を読んでしまったものだ……「私」と「僕」、「旅人」がそれぞれ語り手となって織り成すストーリーは虚実の皮膜を食い破り、フィクション/ノンフィクション/メタフィクションへと縦横無尽に語り口が変わる。イタロ・カルヴィーノを意識した語り口もあり、その他古典文学からのオマージュあり。不勉強な私にはついて行けない部分が多々あったのだけれどともあれ東中欧文学が辿った壮絶な歴史がこうしたポストモダンな実験に反映されたものであることは良く分かる。愛おしいほど不器用な、そして愛らしい一冊であると思わされる2017/05/03

みみみんみみすてぃ

9
読み終わって、全体の印象を頭の中でまとめようとしたとき、どうなのかなぁと一瞬思ったけど、やっぱりこれは面白い。読んでいる最中も飽きない。変てこりん。変わった人が書いたんだろうなってすぐ思っちゃいました。ハンガリーの他国への自意識が強く描かれている。ドナウ河を下ると、それにまつわる物語、各地域の話……小説じゃない小説に、拍手です。2016/09/14

rinakko

9
反マグリスの本だったことを知り読み返したくなった。やはり好きだ…。反マグリスとはつまり“東欧のことは東欧の人間にしかわからない”という思いにあるようだ。帝国の歴史や伝統、ヨーロッパの分裂について、クンデラ氏の憂愁…などなど。ブダペストを描く「見えない都市」ではカルヴィーノの引用がふんだんで、細かい章題の付け方まで踏まえていた。終盤、ダニロ・キシュへのオマージュが差し挟まれている。初読時は未読の作家だったので、もう1度読むことが出来て本当によかった。真っ直ぐな敬慕の念が伝わる、胸の熱くなる素晴らしい件だった2012/11/15

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