内容説明
放恣な生活を悔い改め、妻の元へと帰る主人公。しかし妻はその胎内に、不義の子種を宿していた…絶望・悲嘆・苦悩を経て、赤子殺しに至る主人公の心的過程を、精緻に描き出す。
著者等紹介
ダヌンツィオ,ガブリエーレ[ダヌンツィオ,ガブリエーレ][D’Annunzio,Gabriele]
1863年、イタリアの港町ペスカーラに生まれる。学業優秀ながら品行不公正の少年時代を送り、16歳で第一詩集『早春』を出版。ローマ社交界に取材した長編小説『快楽』によって文壇に地位を確立する。続いて発表した『罪なき者』によって、その文名はヨーロッパ中に知られるところとなった。上記2作とともに「薔薇小説3部作」をなす『死の勝利』のほか、『ジョヴァンニ・エピスコポ』『炎』といった小説や、『聖セバスティアンの殉教』などの戯曲を発表。その一方で、右翼・左翼の両陣営から選挙に出馬したり、第一次大戦に52歳で兵役志願したり、さらにはパリ条約でイタリアへの割譲が許されなかったフィウメを、義勇軍を率いて占領したりするなど、彼の生活や行動自体が、社会の注目の的であった。1938年3月、75歳で、自ら言うところの「無類の一生」を終える
脇功[ワキイサオ]
イタリア文学者。1936年生まれ。1964年、京都大学大学院文学研究科博士課程修了。1968~70年イタリア政府給費留学生としてローマ大学文学部に留学。訳書に、アリオスト『狂えるオルランド』(名古屋大学出版会、日本翻訳文化賞、ピコ・デッラ・ミランドラ賞受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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