罪なき者―薔薇小説〈2〉

  • ポイントキャンペーン

罪なき者―薔薇小説〈2〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 296p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784879842640
  • NDC分類 973
  • Cコード C0097

内容説明

放恣な生活を悔い改め、妻の元へと帰る主人公。しかし妻はその胎内に、不義の子種を宿していた…絶望・悲嘆・苦悩を経て、赤子殺しに至る主人公の心的過程を、精緻に描き出す。

著者等紹介

ダヌンツィオ,ガブリエーレ[ダヌンツィオ,ガブリエーレ][D’Annunzio,Gabriele]
1863年、イタリアの港町ペスカーラに生まれる。学業優秀ながら品行不公正の少年時代を送り、16歳で第一詩集『早春』を出版。ローマ社交界に取材した長編小説『快楽』によって文壇に地位を確立する。続いて発表した『罪なき者』によって、その文名はヨーロッパ中に知られるところとなった。上記2作とともに「薔薇小説3部作」をなす『死の勝利』のほか、『ジョヴァンニ・エピスコポ』『炎』といった小説や、『聖セバスティアンの殉教』などの戯曲を発表。その一方で、右翼・左翼の両陣営から選挙に出馬したり、第一次大戦に52歳で兵役志願したり、さらにはパリ条約でイタリアへの割譲が許されなかったフィウメを、義勇軍を率いて占領したりするなど、彼の生活や行動自体が、社会の注目の的であった。1938年3月、75歳で、自ら言うところの「無類の一生」を終える

脇功[ワキイサオ]
イタリア文学者。1936年生まれ。1964年、京都大学大学院文学研究科博士課程修了。1968~70年イタリア政府給費留学生としてローマ大学文学部に留学。訳書に、アリオスト『狂えるオルランド』(名古屋大学出版会、日本翻訳文化賞、ピコ・デッラ・ミランドラ賞受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

30
ヴィスコンティの遺作『イノセント』の原作本。愛人との情事に夢中だったけれども愛人と別れたので妻のところに戻ってみたら妻は不義の子を身籠っていたという、あまり同情できない主人公の独白で物語が展開します。妻と甘やかな関係を結び直す夢を砕かれた主人公の内面、破滅へと至るその過程が透徹した視点で語られるのですが、どこかその状況に酔っているようにも感じられるのは作者の描く耽美な世界観のためかもしれません。夕暮れや夜の美しさ、妻の歌うオルフェオのアリア、夜鳴き鶯、病んだ白い肌などの不吉で美しい道具立ても効果的でした。2016/11/24

saeta

9
2月ほど前に自宅で手持ちの無修正版イノセントのDVDを鑑賞し、ダヌンツィオの原作の方も読んでみようかと手にしてみました。ジャンカルロ・ジャンニーニ演じる映画のトゥリオは傲慢な貴族の印象であったが、小説のトゥリオは優柔不断でどこか頼りないナヨっとした男であった。映画との相違をくだくだ並べるのも良くないが、夫婦間のやり取りが中心の小説と愛人との享楽の時間の主にしている所やエンディングであろうか。2023/06/19

nightowl

2
トゥッリオは嬰児殺しを懺悔する―妻のジュリアーナをを早世した妹のように愛する彼。しかし、妻への思いはありつつ浮気心を止められずにいた。ある日、トゥッリオはジュリアーナが不義の子を宿したと知る。弟や小作人の汚れ無さに自らを省み、苦悩の色を深めるが…自意識で凝り固まった主人公の身勝手な心情が執拗に綴られる。自己嫌悪する自分、というものを愛している節も含め潔いまでにナルシシズムの強いキャラクターが秀逸。前作とは異なり美に関する記述(注釈もかなり多かった)が減っているせいかかなり読み易い。2013/12/29

じーるく

1
放蕩しまくった挙句反省した体で「世界で一番君を愛してる」などと妻に囁く男が主人公でありその妻も知らん間に他の男の児を宿しているというそこだけ取り上げると割とどうしようもないお話。ただ、強烈なまでに矛盾を孕んだ退廃的精神の在様(アンチ=メロドラマともいえる)と捉えると、修辞に修辞を重ねた諄いまでの文も含めて楽しめるかな。これから『イノセント』を構築したヴィスコンティの映像翻訳能力が恐ろしい。2012/03/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/188230
  • ご注意事項