文学部をめぐる病―教養主義・ナチス・旧制高校

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  • サイズ B6判/ページ数 356p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784879842169
  • NDC分類 940.4
  • Cコード C0095

内容説明

あなたは、ヘッセ『車輪の下』の最初の翻訳者が、どういう人物だったか、知っていますか?“二流”の男たちの悔しさ、怨念、悲哀、出世欲、自覚なき体制順応から見た、「文学部」の構造とそのメンタリティ。

目次

自覚症状 まず、何が問題なのか
病歴 大政翼賛会文化部と第一高等学校
病源 さらば、東京帝国大学
自己診断 高学歴者の悲哀
症例 学校小説としての『ビルマの竪琴』
伝染 『車輪の下』、あるいは男の証明
余病 中野孝次、カフカから清貧へ

著者等紹介

高田里恵子[タカダリエコ]
1958年神奈川県生まれ。東京大学大学院博士課程(ドイツ文学専攻)単位取得退学。現在、桃山学院大学助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おおにし

21
文学部に生息する研究者の生態を彼らの発言を引用しつつ論評した本。ドイツ文学の翻訳者として有名な方など著名人がいっぱい登場するが、彼らの発言から立身出世欲、嫉妬、怨念などが確かに噴出している。女性研究者である作者は彼らの男臭さがどうにも耐えられないようだ。でも、文学部が男の世界だった時代にちょっと憧れているようにも感じた。2019/12/21

紙狸

5
2001年刊行の単行本で読んだ。あまり読んだことがないような語り口の本だった。筆者自身が、これは著書と言うより「引用集」だという。髙橋健二をはじめとする戦前・戦中・戦後のドイツ文学研究者(大学教授)の書いたものをコラージュして、コメントを加えていく。主題は「二流ということ」。確かに、高橋健二を例にとれば、ヘッセの翻訳者として名前には親しんでいるという具合で、文学研究者の教授たちは、日本の読書界・ジャーナリズムでそれなりの存在感があった。どういう男たちだったのか。それを描いたのは一つのアイディアか。2021/01/16

Hiroki Nishizumi

2
時代背景はよく分かった。ただあまり感じるものは無かった。2016/08/10

こうけち

1
文学部に関する哲学的アプローチかと思ったが、まったくの見当違い。登場人物が多すぎる上に彼らををどのような位置づけとしてまとめていないから非常に読みにくかった。主張が明確でない文章がダラダラ続く2012/05/15

ne

0
「教養」あるいは「二流の人」について。露骨に悪し様に書くとそれこそ在り来たりな話になってしまうけど、どうにも芯が通らなくて客観的には俗物的でみじめにしか見えない人々を優しく憐れんでいるような書き方だったので最後まで楽しく読めた。教養として話題に上がっているのは文学のことだけだけど、それ以外の事にも十分当てはまるし、何かの趣味(の人との差異化ツールとしての側面)についても当て嵌まる話で身につまされる感じ2011/10/19

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