内容説明
わたしはこうして、しばしばウィスキーをちびちびやりながらこの家族誌を書き継いでいると、ふと冥界の父と交信しているような気分になる。父と一度も酒を酌み交わしたことのなかった自分が、酒を注ぐように言葉で父の虚をふさいでいるような気さえしてくるのだ。そして、そんなことはありえないとしても、もしもわたしが書きつけてきた言葉がその虚を埋め尽くすことができるなら、そのとき、わたしたち家族が経験してきた流転の涯がこの家族誌であり、さらには言葉を書きしるすことそのものが家族の転生たりうる、ともいえるのではないだろうか―。「棲家の空」より。
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