内容説明
古代アルカディアの牧神(パン)から原初の死、悪霊、悪魔、地獄、吸血鬼、異端カタリ派、魔女、狼人間、黒死病などの疫病、狂気、幽霊、ゴシック小説の幻想怪奇譚、独裁者のテロリズム、原爆投下、そしてエイリアンやメン・イン・ブラックまで、恐怖の諸領域を時代ごとに渉猟し、もう一つの人類の精神史を紡ぐ。
目次
第1章 パニック―恐怖の誕生と伝播
偉大なる牧神は死んだ
第2章 中世―神学的悪夢
第3章 エリザベス朝―王国の混乱
第4章 王政復古と革命―自然と無
第5章 ロマン主義者―畏怖の力
第6章 ヴィクトリア朝―霊の支配
第7章 二〇世紀―文明の薄氷
著者等紹介
ニューマン,ポール[ニューマン,ポール][Newman,Paul]
イギリスの作家。1945年イングランド南西部サマセット州クリーヴドンに生まれる。ブリストル、ウェストン・スーパー・メア、チェルトナムの各大学で学んだのち、英語教師、サイダー工場の工員、カメラマン、ボート池の管理人、休暇キャンプ村でゴリラ役のアルバイトなど、さまざまな職を転々としたのち、1970年代から著作に専念。以来、文学や思想や歴史やオカルトを主題とした論書、小説、詩、地誌などの分野で執筆を続けている。また、文芸季刊誌『アブラクサス』の編集責任者としても活動。80年代中頃よりコーンウォールに在住
田中雅志[タナカマサシ]
作家、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
5
著者いわく「歴史の悪所巡りの旅」。古代ギリシャ・ローマ世界の神話から始まって、死、悪魔、地獄、魔術、吸血鬼、魔女、さらにヒトラー・スターリンから原爆投下、果てはエイリアンまで、西洋人が抱いた「恐怖」に関する暗黒史。特に文学に関して非常に造詣が深くて、様々な学術的知見から考察を加えつつ、二千年を案内してくれる。骨の折れる本だったけど、いろいろ興味深く読んだ。中世人とあまり変わってないという意味で、現代人もけっこう愚かだよなあ。2016/07/15
eirianda
2
霊、怪物、悪魔、陰謀、殺人、虐待、カルト、宇宙人...人間の死や病や孤独や不信感が妄想を生み出し、狂気のアリ地獄に陥らせる。社会情勢、自然の脅威を背景にその時代ごとの恐怖があった。今の日本でも、色んな集団ヒステリーが起こっては消える。情報や知識が増えても人の不安はなくならない。よって恐怖という妄想は常に生まれる。...ってか?2013/05/24
ネオおしりいぬ
1
全体的にぼんやりした記述だけれど、文学作品の解釈だけ妙に細部にこだわっているので、ホラー文学ガイドと見るべきかな…。本編はヨーロッパ全体の話しが多いけど、引用がイギリス文学に偏っているのがちょっと面白いです。2012/08/22
栗淳
1
★★★☆2010/07/04
○△
1
★★★★☆人々を苦しめ続けている『恐怖』について時代順に説明している。「明日はどうなるの?」という『恐怖』が宗教、科学を発展させたことを実感した。現在、高度化された科学によって日常の『恐怖』は制御できるようになったが・・・2010/04/17