内容説明
読者待望の幻の小説群を収め、全巻ここに完結―過ぎたるデカダン、過ぎたる耽美、過ぎたる倒錯の故に日本近代文学史から放廃・抹殺された幻の鬼才、山崎俊夫。新発見の耽美小説６編と、異端作家誕生の軌跡を語る未発表作品９編を収録。著者自筆の伝記風年譜を付して最終巻を贈る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
23
未発表作品や大学以前の習作、短歌や年譜が収録されている。未発表作品は上巻収録作品と同時期に執筆されただけあり、ひたすら耽美を追い求めるような作品群。この部分だけでこの本を買った甲斐がある。この時期の作品が一番美しい輝きを放っていると個人的には思っているので、読みながら実に満足。習作も夭折や稚児趣味が説かれており、作者の思考が一朝一夕で出来上がったものではないことを証明している。短歌はその時期における耽美趣味が凝縮された様。自筆年譜は補巻一の随筆と照らし合わせると、作者の人生が浮かび上がってくるようでした。2012/09/10
のうみそしる
2
「夜の髪」こそが真髄。なんだこの美と退廃と神秘は。「夜の水は淫婦の瞳の様に濁って、ひたひたと暗い船腹を舐めながら……」こちらまで香がただよってくるかのような文章。歴史的仮名遣いさえも耽美を助長してやまない。すごいぞ山崎。学生時代の作品は恋やら死ぬやら若者っぽくてちょっと安心した。「銀のあめ脳病院の白壁のうしろに住める少年(わかもの)に降れ」はすでに山崎っぽさがあらわれている。2024/04/16
めっちー
2
未発表作品は彼の作品の基になっているのも多く、彼の実体験が基になっている作品も多い。山崎俊夫の原型を知るためには欠かせない一冊。兄に宛てた手紙での彼の孤独で切ない心境が印象的。李宝鏡って実在の人物だったんですね…。2012/04/05
eriair
2
こんなに美しい物語は他に知らない。 画集を見るように読んでしまいます。 この人、もっと名前が知られてもいいと思う。切実に復刊して欲しい。。
doom
1
アマゾンで出てこなかったのでこの巻で代りに。実際に読んだのは中巻「神経花瓶」です。2011/03/26
