内容説明
何をたくらんでいるのか?静かな音律のような語りによって描かれる、心の裏側、空白、そして…。芥川賞候補作ほか三篇。
著者等紹介
中村邦生[ナカムラクニオ]
1946年、東京生まれ。作家、大東文化大学文学部教授。「冗談関係のメモリアル」で、文学界新人賞受賞。「ドッグ・ウォーカー」「森への招待」がそれぞれ芥川賞候補作となる
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感想・レビュー
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ハチアカデミー
11
第112回芥川賞候補作「ドッグ・ウォーカー」が凄い。大学時代の恩師から依頼されたゴーストライターの仕事を引き受けたことで、主人公は仕事を介しながら、恩師の私生活に関わることになってしまう。それまで知ることはなかった恩師の家庭が、何やら不穏な中で、主人公は執筆だけでなく、犬の散歩まで請け負う事になる。この主人公が受け継ぐ犬は、恩師の記憶が具体化したものであるのかもしれない。その全貌を知ることは出来ないが、部分的に、他者の人生を、過去の記憶を分有する様が描かれる。ほか、記憶の不確かさを描く2編も所収。2015/09/08
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