内容説明
思考が根源か、存在が根源か、現実に生きなければならない人間にとって、そんなことはどうでもいい。問題は、思考が存在を措定しえず、存在がまた思考を措定しえない、「存在と思考のあいだの、意識と生活のあいだの区別を痛切に感じ」ざるをえない生き方自体にあり、その生き方を、「痛切な感じ」を主体的に捉えること、この「感じ」を生き方として実践として捉えることにある。世界を「解釈」してきただけの哲学はこの点で「変わる」し、また世界を「変える」哲学は、この人間の生き方自体にしかないのではなかろうか。
目次
人間であるという運命―マルクスの存在思想
マルクス存在論の形成過程―『学位論文』の主題と思想
試論・マルクス存在論
思想と実践―マルクスにとって実践とは何か
自然法的人間観の超克
マルクスは古いか―その形而上学的深奥
実践とは思想にとってなにか―イデオロギー終焉のマルクス的根底
思想の合法性をいかに超えるか―戦後マルクス主義のマルクス的批判
著者等紹介
対馬斉[ツシマヒトシ]
1929年(昭和4年)4月、東京生まれ。父の仕事の都合で5歳の折、旧満州に渡り、45年まで、その首都新京で育つ。72年頃、生活が挫折。小さな書籍取次店の発送係となる。75年、友人の世話で専門学校講師の職に就く。批評研究会をつくり、年会報「批評衛星」に毎回論文を寄稿、今日に至る
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