内容説明
16~20世紀初の性的暴力の歴史。裁判記録、日記、新聞、医学文献…厖大な史料・実例をもとに、性的暴力の実際と、身体・視線・道徳・主体の問題が複雑に絡み合う社会意識の歴史的変遷をたどる。
目次
第1部 旧体制―暴力と涜神
第2部 十八世紀末―法の変化と無力さ
第3部 十九世紀―近代法の成立と犯罪の序列化
第4部 十九世紀末―「強姦者」の発明
第5部 二十世紀―風俗論争・強姦と今日の社会
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新橋九段
2
人間の愚かさの歴史というわけか。これはヨーロッパ中心の話なので、宗教的な背景の異なる日本でも似たような認識がある理由とかは気になるな。2016/12/14
よるくま
2
アマゾンでの評判がよかったので読んでみたけど、精神的にかなりヘビーな本。今も強姦についての刑罰は軽すぎるし、被害者に比べて加害者の人権が守られ過ぎてるけど、そんなのお話にならないぐらいに酷い。子供に対する性犯罪があまりに軽視されているので(しかもそれがあまりに多く淡々と記述されてるので)読んでいてブルーになる。でもこうして文書にして残され、さらに現代を経て、いつか卑劣な性犯罪の抑制や相応な処罰へと辿り着いてほしい。翻訳文のせいか、若干読みにくい。2012/06/13
あ
0
十六世紀から二十世紀までのフランスの事例を通じて強姦に対する意識の変遷を綴った歴史書。女性に対する性的暴力が真剣に考えられるようになったのは二十世紀の一九七〇年代後半以降。ちと読みづらいのが難点。2016/12/10
ともたか
0
何事にも歴史ありと思う。2013/06/07
shikami
0
フランスの歴史ですが、封建社会には各国共通点もあると思います。近代以前の特徴は、暴力が比較的容認され、強姦は傷害と同義で、窃盗のほうが罪が重大、歴然とした身分差の為、下層民、特に子供の人権は軽い。被害者側も差別を恐れて訴えは少なく、証言は証拠でなく、物的証拠の提出も困難で、有罪も少ない。等です。産業革命からの市民社会や、医学の発達で変化が現れます。更に現代で女性子供の権利が拡大。強姦は卑劣で重大な罪になってきます。その一方で、アメリカの強姦や性的虐待の過剰な解釈拡大に、作者は懸念を抱いているようです。2010/05/31