内容説明
現象学とは何か。現代思想に絶大な影響を与えるその要諦をフッサール自身が解きあかす必読の入門書。
目次
五つの講義の思考のあゆみ
自然的な思考態度と学問
哲学的(反省的)な思考態度
自然的立場における認識反省の矛盾
真の認識批判の二重の課題
認識の現象学としての真の認識批判
哲学のあらたな次元、学問に対立する哲学固有の方法
認識批判のはじまり―あらゆる知識を疑うこと
デカルトの懐疑考察にふれつつ絶対確実な土台を獲得すること
絶対的所与の領域〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
春ドーナツ
17
急峻な山頂に「間主観性の現象学」と記された旗がはたはたと音を立てている。私はいま、何合目にいるのかわからないけれど。望遠鏡で目視しているので音は表象としての空耳だけれど。フッサールの本を読むたびに挫折を味わうので、初心に戻ることが大切だと考えた。減少額・・・げんしょうがくと入力すると、いつも上のように変換される。現象学のレジュメともいえる本書は、もう何度も反復横跳びしているので、スラスラ読めた。毎回問題となるのは「この先」だ。大まかなプランを細かく検証する段階から、フッサールの誠実で知的な文章に翻弄される2024/03/02
さえきかずひこ
13
1907年4月から5月にかけてフッサールがゲッティンゲン大学で行った、彼の現象学についての5つの講義をその死後ヴァルター・ビーメルが全集の第2巻としてまとめ、本書はその第二版(1958年)を訳出したものである。徹底的に認識の明晰さを追求し、己の哲学を厳密に思索しようと試みる40代後半のフッサールの強い意気込みが満ちた小著。デカルトの明晰さを常に座右に置き、カント的理性を批判的に論じながら、認識論的還元、現象学的還元を中心に現象学の基礎的な考え方がかなり分かりやすく述べられている。巻末に小論を3つ附録する。2020/01/28
Z
6
現象学の中身より意図が述べられている感じ。デカルトを参考に外部を疑い、意識現象から始める。意識の作用を内在、外部は超越と呼び外部の対象が如何に意識に与えられるかを考察する。普通の学問、生物学なり数学なり歴史学なりは、自然な意識(認識論に対する考察のない意識)をもって為されるといい、現象学はそれが如何に意識に判明に捉えられるかという緒学の手前を扱う。また意識現象をベースに自我や時間、記憶等の関連を記述していくという方向性を語る。次は本格的に中身を提示するイデーンを読むか2021/12/26
Fiezerald
5
フッサールの現象学の「理念」である。あとがきにも書かれているように、フッサールの初期の論文であるので手探り感が拭えきれず、それが読者側にも解釈のし辛さとして伝わる。帯には入門書と書かれているが、現象学の入門書として読むのには適していないように思える。現象学を学ぶには『イデーン』を読んだ方が良いかもしれない。2021/01/17
けいぎ
5
読了。フッサール初期の講義録。現象学、建設中。。と言う感じ。 学問の絶対基礎となるものが必要とされること。それは客観主義・科学主義ではありえないこと。現象それ自体は懐疑主義者も否定出来ないだろうこと。現象は、個別性だけではなくて、一般性についても語れるであろうこと。よって我々は現象を還元して、その本質を見極めることが必要とされる。 …などが言われるが、これ大学の講義で延々聞かされた人はツラかっただろうなと思う。2014/11/12