内容説明
若者たちに現れた変異は取り除かれるべき畸形なのか、それとも?“鳥人”をめぐる人々の葛藤を描いた表題作。全宇宙の広がりは三十光年、その中には五十個の太陽しかなかった…。世の嘲りを逃れて火星へ移り住んだ旧世代天文学者の人生最後の一日を描いた『最後の天文学者』など、苦さとユーモアの中に限りなく優しいまなざしを持つSF作家、R.A.ラファティの珠玉の傑作ベスト短編集。
著者等紹介
ラファティ,R.A.[ラファティ,R.A.][Lafferty,R.A.]
1914~2002。1914年アメリカ・アイオワ州で生まれる。1960年に「氷河来たる」を「サイエンス・フィクション・ストーリーズ」誌に発表。2002年に87歳で他界するまでに長編18作、短編150篇以上を発表
井上央[イノウエヒロシ]
1954年10月生まれ。1978年、神戸大学農学部卒業。1990年、オレゴン大学Ph.D.(文化人類学)。マウント・ホリヨーク大学助教授を経て、大阪キリスト教短期大学国際教養学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ライマウ・フレツリー
26
「最高の一瞬。星男に星を!この儀式にまさる儀式はなし」…本短編集もラファティ節の雨霰。まさかの天使系青春小説な表題作は、もう魔法の領域…大傑作!!2018/01/04
スターライト
7
「原初の時代、人類の先祖が夜の焚火の炎の傍らで語った物語」を紡ぐ作家、ラファティの本邦初訳10篇を収めた短篇集。ラファティの話を真に受けてはいけない。なにしろ彼の話は、ホラ話なのだから。なので、ストーリーの展開に怒って本を投げつけることなかれ。「あいかわらず、馬鹿な話だなあ」と苦笑して読むのが吉。ブラックなユーモアただよう好作品集。 2011/07/23
garth
7
ラファティのカソリック性、というのはたぶん重要な問題なんだけど、これまで日本の読者はそこを見ずに済ませてきたような気がする。しかしカソリック抜きの短編もそろそろ尽きつつあるようで、そういう意味では解釈に悩む作品が多いかも。そんな中では「意味」抜きで語り口の素晴らしさを味わえる「なつかしきゴールデン・ゲイト」が絶品。2011/04/25
刳森伸一
6
冒頭の『だれかがくれた翼の贈りもの』の切なさに心を打たれる。その後、一般読者を置き去りにして疾走するラファティの想像力に少し唖然とさせられるが、『マルタ』の爽快さ、『ジョン・ソルト』の嫌みなユーモアなどには判然とした面白さがある。個人的には『ユニークで斬新な発明の数々』も好きだ。2015/03/01
澤水月
6
表題作は本当に堪能した。ラファティにこんな幻想的耽美的な掌編があったなんて。この1編読めてよかった。あとは「なつかしきゴールデンゲイト」「マルタ」辺りは楽しめたがあとは私には難解で読み進めるのに正直難儀した…2011/11/23