内容説明
夢の中で桃太郎に誘われ、犬・雉・猿と共に悪評高いオニババの住む邸宅に足を踏み入れた“私”は、いつしか自分が桃太郎になっていた。(『私が桃太郎だ!!―平成珍桃太郎伝説』)“わたし、本当は鬼なの”夫にそう告白した妻は“決して覗かないように”と忠告を残して、真夏の新月の夜から三日三晩、部屋に篭ってしまった。人の姿でいるための儀式だというが、夫は部屋の中の妻の様子が気になって仕方がない。(『奥様は鬼だったのです』)造り酒屋を営む幸介は、このところ何をやってもうまくいかないのは貧乏神に取り憑かれているのが原因らしいと気づく。貧乏神を祓う奇妙な方法とは?!(『幸介と貧乏神』)等々、平成の奈良に生衝く鬼たちの六つの物語。
著者等紹介
若草登[ワカクサノボル]
昭和50年代、医療機関で働く国家公務員を対象として厚生省第二共済組合が発行していた文芸誌に初投稿以来6回連続で特選になる。以後、会社勤めをしながら執筆を続けている。中編、短編を中心に作品多数。平成18年春より1年間、全国紙の奈良版紙面に小説を連載(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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