内容説明
日本では、企業など組織がどんなに大きな事故を起こしても、その刑事責任は問われない。刑法に組織を罰する条文がないからである。誰も責任を取らない無責任社会を変え、事故のない安心・安全な社会を実現するために「組織を罰する法律」(「組織罰」)の必要性を訴える。
目次
第1章 組織事故と安全な社会(事故のない安全な社会をめざして;組織事故としての福知山線事故)
第2章 事故遺族の願い(“JR福知山線事故”事故を忘れないためにJR西日本を見続ける;“笹子トンネル天井板崩落事故”インフラ老朽化への無策の果てに;“軽井沢スキーバス事故”あの日から;被害者らの共通した想い)
第3章 組織罰とは何か(Q&A組織罰とは何でしょうか;諸外国の動向から見た日本の法人処罰(組織罰)
諸外国の法人処罰(組織罰)一覧)
第4章 組織罰の実現のために(「両罰規定の導入」による組織罰実現の社会的意義;組織罰の実現への軌跡とこれから)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Eiki Natori
3
松本創「軌道」を読むだけでも、組織を相手に責任を追及することは至難の業である。「天皇」井出ですら刑事罰に問うことはできなかった。 その中で組織罰の設立に動く人たちがいる。福知山線だけでなく、信楽高原鉄道や軽井沢バス事故や笹子トンネル崩落事故遺族など。 組織は常に無責任であり、しかし現場の人間の責任を問うたところで何か変わるわけではない。組織罰の必要性は十分理解した。 1件の重大事故にはその前に29件の軽度の事故があり、300件のヒヤリ・ハットする話があるらしい。それを組織の問題と言わずになんというのか。2021/05/09
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