内容説明
有罪判決の柱とされた極めて非科学的なDNA鑑定、血液型鑑定。警察官の誘導によって作られた目撃証言。弁護団は有罪とする一つ一つの証拠を徹底的に検証し、無罪を証明する。
目次
第1章 飯塚事件・再審請求審の特徴と求められる審理のあり方
第2章 DNA鑑定―4つの鑑定データを精査する
第3章 血液型鑑定―真犯人の血液型は何か
第4章 目撃証言その1―警察官に誘導された供述
第5章 目撃証言その2―科学的に不可解なカーブの目撃
第6章 繊維・染料鑑定―情況証拠としての価値はない
飯塚事件の経過一覧
久間三千年さんの妻からのメッセージ―必ず無実の人間に手を差し伸べてくれる裁判官に出会えると、心から信じています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sasha
9
足利事件と同様のDNA鑑定で極刑が確定し、足利事件の再審請求でDNA再鑑定の検討がなされているなかで刑が執行された飯塚事件。目撃証言の不自然さ、血液型鑑定の杜撰さ、自白も物的証拠もなく、何故、刑の執行が急がれたのか。足利事件の再審が波及するのを恐れたからか。死刑後に冤罪と判明しても刑事賠償で国から支払われるのは最高で3000万円だ。安いし、金額の問題ではないと思う。間違った人を極刑に処してしまっていたら誰が責任を取るのか。誰も取らないよな、きっと。2018/01/02
うだうだ
4
NHKBSの「正義の行方」の飯塚事件を見て死刑執行されてしまった冤罪の可能性大か?と思い、より詳しく飯塚事件を知りたいと考えて手に取った。飯塚事件の弁護士団が編集した本なので、有罪判断をした証拠の矛盾や弱さを訴える内容。DNA型判定MCT118法自体の弱さと、判定→写真(加工)→証拠の強調(偽造?)という人の手が入ったことによる曖昧さ。これが死刑判決の決め手は、確かにありえないと思う。ただ、警察・検察からの主張は弱い本であるし、正確に記そうとする説明は用語の問題もあり分かりにくい。テレビは良い番組だった。2022/06/12
gtn
4
冤罪の蓋然性が高いことは分かったが、そもそもなぜ久間氏が疑われたのか、一番知りたいところが本著には示されていない。さておき、無実の罪である可能性が高い本件の死刑執行を行ったのが民主党政権下であったことは、もっと特筆されるべき。2017/12/11