内容説明
マリファナ・法・ミュージシャン。「ハイになってなぜ悪い!」。マリファナ喫煙の現場から禁止法の成立まで、「逸脱現象に登場するすべての人間ドラマを描く」シカゴ社会学者にしてジャズピアニスト、H・S・ベッカーの不朽の名著の完訳版。
目次
第1章 アウトサイダーズ
第2章 逸脱の種類―継時的モデル
第3章 マリファナ使用者への道
第4章 マリファナ使用と社会統制
第5章 逸脱集団の文化―ダンス・ミュージシャン
第6章 逸脱的職業集団における経歴―ダンス・ミュージシャン
第7章 規則とその執行
第8章 モラル・アントレプレナー
第9章 逸脱の研究―問題と共感
第10章 ラベリング理論再考
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロラン
6
言わずと知れた「ラベリング理論」の古典。著者のベッカーは、自身の経験をもとに理論を構築した、などと言うと凡百の「〇〇の社会学」のような、体験手記の類を思い浮かべてしまうでしょうが、巷の本屋でしばしば目にするそれらの本とは一線を画しています。社会学的な逸脱研究に関心を持つ人なら、一度は読んでおくべき名作ですね。この邦訳本では、ジャズ・ミュージシャン達の軽妙な会話も雰囲気を損なわず訳されており、そこがまた魅力のひとつとなっています。2018/01/30
まつゆう
2
フィールドワークの部分が今見るとちょっと物足りない気もするが、自分の立ち位置を自明として何かを語る傲慢な知への反抗と、筆者自身がジャズピアニストということもあって、自分の仲間や仕事への深い共感が根底にあるのだと思う。こういうアンダードッグへの愛着から始まって、権威と対決していく研究にはシビれるねぇ…。2013/03/14
Max Brown
1
アウトサイダーズの具体的な事例(マリファナの服用者、ミュージシャン)が非常に面白かった(なぜか学者集団も頭に浮かんだ)。また、最終章の「ラべリング理論再考」では、ラべリング理論に対する「ラべリング」の問題や、アウトサイダー集団への参与観察の困難さ、理論とデータの関係性など、社会学において重要な問題が指摘されており、色々と考えさせられる。訳者の解説も分かりやすく勉強になった。それにしても、プロのミュージシャンとして活動していたり、論文の本がベストセラーになったり、ベッカーという人は本当に面白い人だと思う。2012/11/05
mnry
0
訳がひどいのなんのって.読めたもんじゃない.2013/01/01
xxx
0
本論考は、社会集団は特定の規則をもうけ、それに違反したものにアウトサイダーのラベルを貼ることで逸脱を生み出す、と語る(ラベリング理論:1978初出)。本書ではマリファナ使用者、ジャズ・ミュージシャンなどがアウトサイダーのサンプルとなっている。特に後者は自分達以外の人間を「スクウェア」と称し「我々より劣った人間」として語る。そこには自らの音楽性の追及と「売れ線」の音楽を演奏し金を稼ぎたい欲望の葛藤がある。「アウトサイダー」の産出過程だけでなく芸術サブカルチャー参与者の認識についても知ることができる。2022/11/13