出版社内容情報
あらたな国選弁護制度の実施にともなって、被疑者段階の弁護も大きく変化した。新人弁護士必携の『当番弁護士編』をアップデートした。書式CD-ROM付
第1部 一般刑事事件
1 初出動
[解説1]当番弁護士制度
1 制度の歴史
2 当番弁護士への登録
3 当番日の出動待機
4 出動要請と準備
5 接見
[解説2]被疑者国選弁護制度
1 被疑者国選弁護制度の意義
2 制度の概要
3 被疑者国選弁護の手続
2 抗議
[解説]捜査機関への対応
1 捜査機関からの情報収集
2 違法捜査への対処
3 結果報告
3 受任
[解説]受任
1 受任契約
2 被疑者国選の対象事件
4 身体解放をめざして
[解説]身体拘束にどう対処するか
1 準抗告
2 勾留理由開示請求
3 その他の手続
5 不起訴をめざして
[解説1]現場調査・証拠収集
1 現場調査
2 関係者からの聴取
[解説2]示談
1 示談の方法
2 否認事件における示談について
6 釈放
[解説1]弁護活動の終了
1 検察官との最終交渉・最終意見書
2 事件終了時になすべきこと
[解説2]委員会派遣制度
1 委員会派遣制度とは
2 委員会派遣制度の目的
3 出動はどう決まるか
4 接見での注意点
5 マスコミへの対応
第2部 即決裁判
1 当番待機
[解説]当番待機
1 即決裁判手続の概要
2 即決裁判手続の対象となる事件
3 即決裁判手続の特色
4 事件配点までの流れ(東京の場合)
2 事件配点
[解説]事件配点
3 接見
[解説]接見
4 検察官面接と弁護人意見
[解説]検察官面接
第3部 外国人事件
1 待機・出動
[解説]外国人事件の特質
1 特有の問題
2 言語の確認
3 通訳人の確保
4 通訳料
5 通訳人を直ちに確保できない場合
2 接見
[解説]接見
1 通訳人に対する接見妨害
2 接見における注意
3 犯罪事実の告知
4 取調べ状況
5 入管法上の配慮
3 情報収集
[解説]家族や大使館等への連絡
4 事件の見極め
[解説]事件の見極め
1 事件の見極めと早期帰国へ向けた協力
2 扶助事件における依頼者からの金銭授受の禁止
5 起訴およびその後
[解説]事件解決
1 不起訴処分の場合
2 起訴された場合
3 信頼関係の確立
4 参考文献
第4部 少年事件
大麻取締法違反被疑事件
[解説]少年事件
1 少年法の目的と弁護士の役割
2 少年法の対象となる少年
3 少年と面会する際の留意事項
4 家族等との関係
5 逮捕・勾留段階
6 家庭裁判所への送致と観護措置決定
7 審判までの活動
8 審判
9 抗告
10 参考文献
第5部 資料
はじめに
現在,刑事司法制度は,大きな改革のまっただ中にあります。
ご承知のとおり,2005年11月には公判前整理手続等を含む新刑訴法の施行,そして,2006年10月からの日本司法支援センター(法テラス)がいよいよ実働を開始し,これに伴う国選弁護制度改革,被疑者国選制度および即決裁判制度が施行されます。そして,2009(平成21)年から裁判員制度が開始される予定となっており,終戦後に制定・施行された現行刑事訴訟法始まって以来の大変革期にあります。
そのような時代の中で,われわれ弁護士は,適正な刑事司法の担い手としての自覚を持ち,謙虚にその技術の研鑚を深めていかなければなりません。
本書は,当会の刑事弁護委員会に所属する有志の委員の手によってこれまで執筆,編集を重ねてきました。
新入会員のための刑事弁護の「はじめの一歩」を,わかりやすく,まるで自ら体験するように解きほぐしている非常に優れた入門マニュアルであるとともに,経験を積んだ弁護人が初心に戻り,その基本を確認するうえでも優れた実務書として好評を得ており,数々の制度改革を織り込んだ本新版も,同様の評価が得られるものと確信しております。
さて,上に書いたとおり,制度の改革が急ピッチで進んでいます。そのため,本新版の出稿時には確定していなかった事項も複数あります。日々着々と改革が進んでいくなかではやむをえないことではありますが,本新版編集スタッフもその点のフォローまで十分にしてくれております。
どのような形でそのフォローがなされているか,本書の中にそのヒントが隠されています。
このような改革期には遊び心も必要です。業務多忙のなか,編集・執筆にあたった委員の遊び心の現れとして,岡本三平,伊東ひとみ両新人弁護人の活躍とともに,そのヒント探しも併せてお楽しみください。
2006年11月
東京弁護士会会長 吉岡桂輔