出版社内容情報
社会に戻る可能性ゼロの終身受刑者58名は語る。何を思い、何を考え、どんな希望もっているのか。日本での終身刑導入の議論に一石を投じる書。
日本語版刊行に寄せて ハワード・ゼア
謝辞
写真とインタビューについて
終身受刑者――ポートレートとインタビュー
このすべてが意味するものは何か
写真家/著者について
訳者あとがき
解説 本書の意義とゼア博士の修復的司法 西村春夫
日本語版刊行によせて
Doing Life初版が刊行されてから今日までの間に、アメリカ国内では、仮釈放なしの終身刑を科す州の仲間入りをする州が増えてきている。この間、終身刑判決を受けた受刑者数は増え続けている。刑務所内での増大する高齢者数を含んでいるが、この数字の増加が、教育、保健医療といった必要不可欠な社会サービスの予算を圧迫している。そこで終身刑にまつわる課題は更に一層緊急性を要している。
そのような折に本書が日本で発刊されるということは私にとって大変光栄なことだ。本書に見られる顔や言葉が映し出しているのはアメリカの状況ではあるが、終身刑が増大する現象は(幾分かはアメリカの政治的利益、企業利益によって衝き動かされているのだが)世界的な広がりを見せている。願わくば、読者の皆さんが本書に登場する人たちとの出会いを通じて、一度立ち止まって日本国内の刑務所、受刑者に対する思い込みを考え直すきっかけになって欲しい。願わくば、刑務所の現状について、また、男性、女性の受刑者が社会に対して何を提供しなければならないのか、といったことについての対話が生まれるようになって欲しい。
2006年5月11日
ハワード・ゼア
内容説明
本書に登場する男女は、ペンシルベニア州内の刑務所で、現在終身刑で服役中である。全員が、殺人罪あるいは殺人罪共犯の有罪判決を受けている。その多くは既に長期の刑期を終えている。彼らの大半が獄中で死を迎えるであろう。社会に戻る可能性ゼロの終身受刑者58名は語る。何を思い、何を考え、どんな希望もっているのか。日本での終身刑導入の議論に一石を投じる書。
目次
ロエス・ジューン・ファークハーソン
アロン・フォックス
ラリー・ホルツ
アーヴィン・モア
ゲイ・モーリイ
キマリー・ジョインズ
ブルース・ノリス
ジュリアス・シュルマン
ジェイムス・テイラー
リカルド・メルカド〔ほか〕
著者等紹介
ゼア,ハワード[ゼア,ハワード][Zehr,Howard]
モアハウス大学、シカゴ大学、ラットガース大学に学び、現在、米国バージニア州にある東部メノナイト大学において修復的司法の教授。米国初の「被害者加害者和解プログラム」設立に関わる。2003年にPrison Fellowship Internationalから第1回修復的司法賞を受けた。修復的司法の先駆者として、米国ばかりでなく世界的にも知られている。また、すぐれた写真家でもある
西村春夫[ニシムラハルオ]
常磐大学大学院教授
細井洋子[ホソイヨウコ]
東洋大学社会学部教授
高橋則夫[タカハシノリオ]
早稲田大学法科大学院・法学部教授
西村邦雄[ニシムラクニオ]
東京大学社会学部非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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