出版社内容情報
痴漢冤罪事件の弁護は、困難を極める。痴漢冤罪事件弁護の携わってきた弁護士が、これまでの裁判例を分析し、痴漢冤罪研究・弁護の到達点を示す画期的な書。
第一部【理論編】
最近における痴漢裁判の概観--秋山賢三
痴漢冤罪事件と刑事訴訟法の解釈・運用--荒木伸怡
痴漢冤罪事件・無罪と有罪の間-裁判官の直感--佐藤善博
痴漢事件の被害者供述をどう読むか-供述心理学の視点から--浜田寿美男
わが国の裁判例にみる犯人識別供述の信用性判断基準--今村核
ターンバルの準則と補強(支持)証拠-いくつかの裁判例を題材として--鳥海 準
第二部 【判例解釈編】
宇都宮線事件
東海道線事件
札幌地下鉄事件
西武新宿線第2事件
埼京線事件
東武伊勢崎線事件
京浜急行事件
小田急線事件
田園都市線事件
第三部 【判決集】
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kenitirokikuti
1
1990年、日本被害者学会設立。1992犯罪被害者実態調査。1995警察の被害者対策研究会発足。1996警視庁が被害者対策要綱を策定、犯罪被害者対策室を設置。そして、この頃から痴漢の取り締まりが強化された2016/09/17
たろーたん
0
庭山英雄のあとがきが面白かった。彼によると、痴漢冤罪というのは日本特有の現象らしい。過去十年間毎年のように欧米を訪問しているが、性犯罪一般が話題に上ったことはあるが、痴漢冤罪が話題にのぼったことがない。それは通勤ラッシュがない性なのではないかと思い、なら「通勤ラッシュのある韓国なら痴漢冤罪はあるのか?」と韓国の大学教員に聞いたら、「痴漢という現象はあるが、痴漢冤罪という言葉は耳にしたことがない」と言われたそうだ。そう考えると、やはり痴漢冤罪は日本の構造的な自由に起因する問題っぽい。(続)2024/05/30