内容説明
『百科全書』は「啓蒙思想」の宣揚だけではなく「技術・もの造り」を歴史的に復権させ生産力の発展を促しフランス革命を導いた―その全体像に迫る文系・理系の二人の著者によるユニークな一書。
目次
第1章 『フランス百科全書』と「もの造りの手法」(『フランス百科全書』に全体像;ディドロ執筆の『趣意書』に見る「もの造りの手法」重視;ディドロ執筆の項目「技術(art)」の意義
『百科全書』の出版経過と「もの造りの手法」
『百科全書』と農業・経済
「もの造りの手法」と生産力―フランス革命への底流
これまでの翻訳・紹介・研究
『百科全書図版』の翻訳・出版
訳語の問題)
第2章 歴史における生産・労働とそれへの眼差し(「もり造りの手法」のたどった道)(「生きることすなわち生産すること」だった時代;階級社会では生産労働への蔑視が始まる;ルネサンスとアルセナーレの時代;パトロン・国王などの技術から国力としての技術へ(絶対主義)
マニュファクチュールからブルジョアの誕生
現代における「もの造り」蔑視)
第3章 「技術学」と生産力(「もの造りの手法」から生産力へ)(技術学と生産活動;技術学の歴史:「規則」から「技術学」へ;技術学と他の諸科学・技術学の位置づけ;技術学と工学・農学・医学(医療)
「技術」という概念をどう規定するか:「知識」から「生産力」まで)
第4章 『百科全書』とフランス革命(17‐18世紀のフランス経済と王国の政策;『百科全書』の支持者であつたブルジョワジー;フランス革命に至る農業と農民の状況;工業の発展とさらなる発達を阻むもの;革命前夜のブルジョワジー、都市民衆、農民の状況;革命による改革の内容)
第5章 『フランス百科全書』からひろがる連想(歴史上の“百科全書”;現代と未来の“百科全書”;事典と知識の体系性;知識の体系の意味;一人ひとりの“百科全書”;知識と思考の存在意識)
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