内容説明
ジェンダーの非対称性、承認されないセクシュアリティの孤独、経済的格差の深刻化による対立や分断など、わたしたちは多くの“生きづらさ”に直面している。わたしたちの居場所は、どこにあるのか。特異な着想や作風で“生きづらさ”の根源と向き合い、周縁に追いやられた人々の声を聞き続ける「女性作家」たち。その作品世界から、“いま”を生き抜く道を探る。
目次
1 越境・撹乱するジェンダー/セクシュアリティ(笙野頼子『母の発達』―“母殺し”という居場所さがし;記憶・物語・産むこと―川上未映子『夏物語』のケアとクィア ほか)
2 変容する家族とケアの倫理(江國香織『きらきらひかる』『ケイトウの赤、やなぎの緑』―近代結婚制度を超えて「ケアの絆」へ;松浦理英子『最愛の子ども』―反転していく「家族ごっこ」の行方 ほか)
3 紡がれる記憶/記憶の継承(谷崎由依『遠の眠りの』―“行きつ戻りつ”する者の物語;須賀敦子「ふるえる手」論―ナタリアの帽子 ほか)
4 短歌・演劇表現から探る現代(高木佳子の短歌世界―沈黙の構図に抗するために;美智子皇后の短歌―「平和祈念」「慰霊」の短歌を中心に ほか)
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