内容説明
1890年代初頭の出発期から『時は過ぎゆく』(1916)にいたる田山花袋の重要作品について、海外文学の受容と執筆過程の実態を検証することにより、その文学的営為の内実を解明する。
目次
出発期における花袋の志向―「『野試合』を読んで水蔭君に寄す」をめぐって
第1部 花袋文学の形成基盤(一八九〇年代の紀行文におけるジャンルの越境と人称の交替―『日光』を中心に;一九〇〇年前後の花袋における「自然」の変容―太田玉茗宛書簡に見られる海外文学の受容を中心に)
第2部 主題とモチーフの形成(紀行文草稿「笠のかけ」から『重右衛門の最後』へ―二つの共同体;「見えざる力」から「蒲団」へ―岡田美知代宛書簡中の詩をめぐって;暴風・狂気・チェーホフ―「蒲団」執筆の背景とモチーフ ほか)
第3部 叙述方法の形成(風景の俯瞰から自然との一致へ―「生」改稿をめぐって;写すことと編むことのあいだ―『田舎教師』における風景描写の形成)
花柳小説から『時は過ぎゆく』へ―『燈影』の初出「春の名残」を中心に
著者等紹介
小堀洋平[コボリヨウヘイ]
1986年埼玉県生まれ。2009年早稲田大学第一文学部卒業。2015年早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。その間、早稲田大学文学学術院助手、同次席研究員(研究院講師)を経て、2015年より皇學館大学文学部助教。専攻は田山花袋など自然主義を中心とする日本近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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