内容説明
本書は、一八九五年に出版されたケネス・グレアムの短編集『黄金時代』The Golden Ageの全訳に、作品の解題、訳註、年譜を加えて構成されています。
著者等紹介
三宅興子[ミヤケオキコ]
梅花女子大学名誉教授
松下宏子[マツシタヒロコ]
梅花女子大学大学院で博士学位を取得。関西大学他英語・児童文学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュシュ
27
面白かった!著者の子どもの頃をもとにして書かれたらしい。大人はみんなオリンピアン。大人に対する批判が笑わせるし、自分の子どもの頃のことを思い出した。騒々しく滑稽で真面目で自由で、ささいなことで落ち込んでしまう子どもの日常。「たのしい川辺」を思わせる楽しさ、「あかつきのパン笛」を思わせる美しさがあった。まさにケネス・グレアムだと感じた。『ぼくたちは、傍目には哀れにすら見えるような喜びと熱意をこめて、ひとつのばかばかしい楽しみから、また別の風変わりな楽しみへと移っていくのです』2018/11/10
ワッピー
8
「楽しい川辺」グレアムの子供時代にしか存在しない黄金の時間。百年前のバークシャー州クッカム・ディーンの祖母の家での体験が生き生きと描かれていて、読み進めるのがもったいないほどでした。時折大人が顔を出すこともありますが、ワッピーの中では、ダレル「虫とけものと家族たち」に匹敵する高評価です。ただ、訳注量が多く「宿題をちゃんとやったぜ」感が強い。時代背景についていろいろ知れたのは確かですが、ここまでしなくては今の読者はついてこないのだろうか?グレアムの墓碑銘は従兄の「ゼンダ城~」ホープが書いたとは。時代やのぅ~2018/04/22
ぱせり
5
子どもの世界の掟と大人の世界の掟との間には、オリュンポス山ほどの隔たりがある。大人の側から見れば、仰天するような悪事の数々にしかみえないのだけれど、下界(!)では素晴らしい叙事詩が日々進行しているし、涙を振り飛ばして笑い転げるような喜劇も起こり、抒情的な美しさが満ち満ちている。2018/12/16
じょうこ
3
『たのしい川べ』作者による大人向けの本。めちゃ面白くかつ勉強になる。特に男子=少年の心中を知ることができた。妹の人形遊びを影で眺めながら、とんでもない妄想を続ける『おがくずと罪』、真夜中に5人兄妹で「カエルの行進」(うつぶせになった人の手足を4人で持って運ぶ)をする『青い部屋』、不当な扱いを受けたときに一人で歩くとっておきの道『ローマへの道』他計17編。児童文学やアニメになりそうな芯がつまってる。私はサザエさんのカツオの話しっぷりを思い出したけど…。テーマは「VS大人」だね。子ども扱いをしない大人も登場。2021/07/29