出版社内容情報
こんな新鮮な読みがあったか!
福永武彦が隠すふりをしながら実は言おうとしていたことを解き明かす。
テクストの陰の部分に光を当て、作品の意味を反転させる。
これはスリリングである。 池澤夏樹
序 田口耕平氏の方法 神谷忠孝
*
「幼年」論―母の系譜
「河」論―父の系譜 35
「草の花」の成立―福永武彦の履歴
第1章 「第一の手帳」の成立
第2章 「第二の手帳」の成立
第3章 「冬」「春」の成立
「夢の輪」論―「寂代」と「帯広」
封印と暗号―最後の小説「海からの声」へ
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
novutama
4
福永の「寂代」を舞台にした作品群への考察が秀逸。冷たく暗い街に小さな灯をともしたような「夢の輪」に、離れて生きることになった原條あき子と息子夏樹へのメッセージが巧妙に隠されていると看過する。己をよく知るために人は書き、他人をよく知るために人は読む。15の頃の自分がなぜ福永を好んで読むようになったか知りたいと思う。本棚の奥に眠る全集を手に取るよう促されたようだ。/私の中に白い鳥がいて 帰れない旅へと私を誘う 私のそばに眠る人を捨て 飛び立とう 月へ 翼を広げて/原條あき子「私のそばで眠るのはだれ 4」から2016/01/15