内容説明
「変ちきりんな物」としての猫は人間世界を異化する。そこに笑いをひき起こす。人間世界はこのユートピア意識の化身ともいうべき猫の眼の下で眺められ、笑うべき世界として反転させられ、非現実の世界として、われわれを誘い込む。
目次
第1章 笑いのユートピアの原郷―『吾輩は猫である』と江戸戯作
第2章 「太平の逸民」空間の出現―「初編・続編」の世界
第3章 「太平の逸民」空間の再生―「三」の世界
第4章 「太平の逸民」空間のポリフォニー的拡大―「四」の世界
第5章 外界の闖入にゆらぐユートピア空間―「五」の世界
第6章 虚実皮膜のユートピア言説―「六」の世界
第7章 反世界的浮世風呂―「七」の世界
第8章 逆上するユートピア空間―「八」の世界
第9章 鏡の中の正気と狂気―「九」の世界
第10章 メービウス空間への回帰―「十」の世界
第11章 笑いのユートピア意識の終焉―「十一」の世界
著者等紹介
清水孝純[シミズタカヨシ]
1930年東京生れ。東京大学大学院比較文化比較文学博士課程終了、日本大学講師を経て、1969年九州大学助教授、1976年九州大学教授、1992年福岡大学教授、現在九州大学名誉教授。その間、1976年から78年にかけてパリを中心にヨーロッパ滞在、また1986年から87年にかけては旧ソ連に滞在。小林秀雄研究からドストエフスキー研究に入り、1982年『ドストエフスキー・ノート―『罪と罰』の世界』(九州大学出版会)により第一回池田健太郎賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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