内容説明
日本のmodern playは西欧からの輸入であり、つねにその跡追いをしてきた―という、従来の定説を疑い、それは日本の、それぞれの時代を生きた人々の、まるで糸吐く蚕のような、内からの衝迫に突き動かされた自己表現であり、どうしてもそれでなければならない必然から選ばれた手法と形式が日本近代劇の歴史を作ってきたのだ、と見る画期的な研究書。明治から敗戦まで、おのおの新しい地平を開いた劇作家たちの作劇術と、その生き方、思想との相関関係を探る―。いま新しい演劇はほんとうに新しいか?同時代演劇へのひそかな問いかけでもある…。
目次
作家・作品論(操・補遺;三好十郎・バルザックの季節;続バルザックの季節 ほか)
ドラマトゥルギーの特色・点と線(初めあり中あり終わりあり;戯曲における文体―言葉の機能回復を求めて;「国性爺合戦」―小山内薫から野田秀樹まで ほか)
資料/聞き書き(三好十郎の国策劇―「砂金」「麦ふみ」「国の手紙」ノート;三好十郎の創作ノート「青春」;森本薫未発表書簡 ほか)