内容説明
郵便システムの末端で働くチナスキー。本音を言えば即座にはじき出される建前会社に感じる疑問や不条理さを、持ち前の過剰なるハイテンションでやり過ごす。休職してまで競馬場に通い、林立する酒瓶の中で女と笑って過ごす日々―。ささやかでありふれた欲望を包み隠すことなく、自由に誇張することなく描いたブコウスキーの自伝的処女長編。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネロリ
8
案外、ハックルベリー・フィンが大人になったらチナスキーのようになるんじゃないかな。名前も“ハンク”で似ているし。今日1日はダメ人間オンパレードのこの一冊に夢中になり、読み終えた今、妙に心がホカホカする。大好きだ。2012/10/12
白義
8
なんという糞(ウンコ)やろうにして糞(ウンコ)小説なのだ。奴隷的な環境で屑さという自由だけは奴隷にすることなくありのままの屑さをありとあらゆる意味でありのままに描いたこの小説は間違いなくウンコなのだが、小説や詩はすべからくウンコなのだ(誤用じゃないよん)という考えに照らしてみればブコウスキーこそ真の小説家にして詩人で間違いないとも思えてくる。しかしその他のもってまわった屑と比べるとこの屑はなかなかいい男で、これがウンコなのは世界そのものがウンコな証明にも思えてしまうひたすら楽しい小説であった2012/07/08
樽
6
新訳読んだらまた読みたくなって、図書館で借りてきちゃった。翻訳者が違っても、作家のキモみたいなのはちゃんと同じ、と感じる。2023/06/30
Happy Like a Honeybee
6
とにかくテンポが良くて、一気に読めてしまうのは翻訳者の功績か? アウトサイダーだからこそ、独自の世界観で米国を体現してると言えようか。 他のブコウスキー作品を手に取りたい。2019/10/23
つちのこ
4
自伝的処女長編といわれている本書は、ポップアートを見るような軽いタッチとブコウスキーならではの下品さ、そしてテンポのよさに、読み出したら止められなくなる。 全体を通じて流れるハイテンションの下品さと、その中に見え隠れする主人公の心やさしさ、そして、読む側にそれを知らず知らずに気づかせてしまうという絶妙なテクニックである。これがブコウスキーの小説の魅力であるような気がするがどうだろうか。1999/12/13