内容説明
イース人のヤプーに対する態度は、徹底して残酷かつ非道なものだった。クララは初め、嫌悪感を示すが次第に順応していき、やがて麟一郎を私有家畜とすることを決意。去勢手術などの生体加工を施され、変わり果てた姿となった麟一郎は、クララの「尻洗礼(パブティズム)」を受けてヤプー・リンとなった―想像力の限りを尽して描きあげた倒錯の万華鏡、第三巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
49
駄洒落の様な驚愕の記紀神話創世の謎も明かされ、日本人の起源はパラドックスとなる。麟一郎は家畜として目覚め、クララは立派なイース人となってゆく。エログロ描写に馴れて来ると、この物語のSFとしての背景や設定がとても周到に用意されていることが解って来る。引き続き4巻へ。2015/11/03
おたま
40
やっと第3巻まできた。これまでもむろん衝撃の連続であったが、この第3巻でさらにヴォルテージは上がっている。この巻になって際立ってきたのが、SMならぬSFの側面。もはや家畜人ヤプーの人体改造は、バイオテクノロジーSFの極限化したもののように感じる。それと前面化してきたのが、第2巻の後半から顕著になってきている歴史改変SF的な要素。完全に日本の古代史(神話時代も含めて)の改変、それに留まらず、東アジアの歴史の改変をも敢行してしまう。また、タウ空間を利用した時空間移動はとてつもないハードSFの趣となっている。2022/08/25
ヨクト
18
本書は奇書・怪書であるとともに優れたSF作品でもある。この中で想像された世界は荒唐無稽であって無茶苦茶ではない。至る所にある注記がそれを裏付ける。世界観に圧倒されることは間違いないが、オススメはしないし、行きつけの喫茶店でも読むのは躊躇われる。2014/04/30
ペトロトキシン
13
さすがにここまで来るとマンネリ化してきて、イースの白人に対するヤプーの酷い扱いには腹もたたなくなってくる。まぁ、彼ら彼女らは最初からヤプーを家畜としか考えていない訳であるから、そこに腹をたてても仕方ないのだが、20世紀で生活をしている者としては、牛や豚等の家畜でさえもう少し丁寧な扱いをするぞ!という気持ちが湧いてこないでもない。2015/08/09
長岡紅蓮
11
1巻、2巻と相変わらず癖の強い3巻。あと2巻も残っているのか……。日本神話や昔話を構築し直している様子は、ところどころ失笑を禁じ得なかった。著者がこの物語を書こうと思ったのがまるで想像できない。第三一章 子宮畜選抜のページ186 ハーフ・ブームについて書かれているところはフィクションに思えなかった。2019/01/06