内容説明
新宿に北の国から謎の男が現れる。獣のような野性的な肉体は、特別な訓練を積んだことを物語っていた。男は歌舞伎町で十年以上も前に潰れた暴力団のことを聞き回る。一体何を企んでいるというのか。不穏な気配を感じた新宿署の刑事・佐江は、その男をマークするのだが…。新宿にもう一人のヒーローを誕生させた会心のハードボイルド長編小説。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
350
10数年ぶりの再読。漫画チックな設定で、出だしのつかみはバッチリ。たしか新書版では一冊だったものが、文庫では分冊されて、上巻はなかなか良いところで終わる。梶の性格が爽やか過ぎて"狩人感"があまりないことと、その正体に捻りが無さすぎるのは気になる。ここがあまりハードボイルドになり切れない分を、脇を固める準レギュラー陣で補っている。分かりやすい熱血善玉主人公すぎて、内面を掘り下げづらい梶のキャラクターならば、もっとアクションを増やして、もっと超然とした強さを持っていても良かったかもしれない。2019/12/13
nakanaka
65
先に「砂の狩人」を読んでしまっていたので多少の失敗を感じるかと思いきや全くの杞憂でした。二作目でも登場した佐江が出てくるだけで主人公自体はその都度変わるのかな。狩人シリーズは佐江が裏主人公という設定みたいですね。東京新宿で十年前に潰れた田代組という暴力団を調べ回る秋田県警刑事の梶。捜査が進むにつれて明かされていく真実。面白過ぎます。下巻が楽しみてす。2024/10/01
はつばあば
56
今まで読んで無かったなんて、もったいない事をした。いやいや老いたればこそ若い梶君に胸キュンとなり、中年の冴えない佐江にも愛い奴じゃとも思える。秋田のマタギ精神を新宿に持ってくるなんてイケてますやん(*^_^*)。と、若いつもりで感想を書いてみた。どちらかと云うと味のあるのは宮本でこちらの方が好きだが、まぁ主人公をたてて。2015/09/24
はにこ
50
初読みの作家さん。田舎から出てきたただの青年かと思っていたら、東京で殺された父の事件を探るためにやってきた秋田県警の刑事。ヤクザが絡んでいる事件。新宿の警察とも連携をとりながら捜査するがなかなか真相に辿りつけない。ヒロインはませた女子高生。時代を感じる描写があるものの、惹き込まれた。下巻へ。2024/09/26
ケロリーヌ@ベルばら同盟
49
もんでんあきこ氏によるコミカライズの美しい絵に惹かれ、初めて大沢在昌氏の作品を手にした。食物連鎖、弱肉強食。一見凪いだように見える大海の、波の下には、ありとあらゆる欲望と暴力の闇が渦巻く街、新宿に、北の狩人の精神を澄んだ瞳に宿した若者が分け入る。アンダーグラウンドを舞台としたハードボイルドとの惹句に、戦々恐々としていたけれど、端正な筆致、魅力的な登場人物に惹き込まれた。2021/01/16