内容説明
国際生花シンポジウムの開催地・京都で雑誌記者が謎の死を遂げた。五百年の歴史を誇る華道家元の座をめぐり、様々な思惑が複雑に絡み合う中、第二の犠牲者が。連続殺人の裏には何が隠されているのか?美しく桜が咲き乱れる古都で、伝統と格式のもとに封印された秘密に、浅見光彦が挑む!著者にとって記念すべき百冊目の作品となった傑作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーコ・オクダ
18
浅見光彦シリーズ。京都を舞台にした茶道やら華道のお家騒動、権力争いを扱うミステリは今までいろいろ読んだけど、コレは既存のパターンをうまいこと避けながら、エエ感じの仕上がり。素材としてのトラブル、アクシデントはありきたりでも、その背景とかリードの仕方がどれも凝っていて。それにしても、芸事の家元たちは、なんで他所に子供をポンポン作るのかねぇ(苦笑)そして、女たちは芸事の繁栄のためにはグッと何もかも飲み込んで…。ピラミッド型の集金システム、免許制度等、いつの時代もトラブルの種はいっぱい。2024/03/02
ニゴディー
9
浅見光彦シリーズ。 これは良作。 登場人物の人間関係だったり全体の構成だったりのバランスが良く、読んでいて心地よい。 題材を考えると2時間ドラマ向け。 ただ、よくできてるし満足感はあるんだけど、良くも悪くも浅見光彦じゃなくても成立しちゃうような。 あと、シリーズ作品はそこまでまだ読んでないというのもあるし、たまたまなのかも知れないけど物語の締め方あまり良くないものが多くないですかね。 今作だと「結局はそうなるんだろうけど、普通に考えるとそうだからこそ、何か納得感のある締め方をしてくれよ」と言いたくなる。2020/05/17
しんた
9
著者も自画自賛しているが、構成が素晴らしい。名作のひとつ。内容は最初から最後まで女性、女性。著者もあまり華道(家元制度)というか旧体制然をよく思ってない節がある。内田作品100作品目らしいが、個人的にも全作品読破までようやく折り返し地点に来た。2019/05/06
くらげ@
8
(☆☆☆☆)再読。浅見光彦シリーズの中でも好きな作品。久しぶりに読んで光彦の話し方にやや違和感。こんな話し方でしたっけ??内田さんの作品では、推理を楽しむというよりは、登場人物の「人」の生き方を見ているような気がする。最後の結末が光彦シリーズならでは。犯罪とは罪、つぐないとは何かを考えさせられる。光彦たちが出した結末はとても厳しいものだと思うけれど、罪の償い方というのは人それぞれであり、謎解きをすれば良いわけでないところが光彦の魅力だと思う。2011/04/01
ちひろの旦サン
5
華道界の家元制度を揺るがす発端とする殺人事件を浅見光彦が追う。登場人物のキャラクターが個性的でわかりやすい。また、伏線がうまく張られていて最後に逆転を見ることができる。浅見光彦シリーズでも傑作の部類に入るのではないかと思う。2009/07/16