内容説明
夜の性風俗ガイドを依頼してきたアメリカ人・フランクの顔は奇妙な肌に包まれていた。その顔は、売春をしていた女子高生が手足と首を切断され歌舞伎町のゴミ処理場に捨てられたという記事をケンジに思い起こさせた。ケンジは胸騒ぎを感じながらフランクと夜の新宿を行く。97年夏、読売新聞連載中より大反響を引き起こした問題作。読売文学賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真香@ゆるゆるペース
112
実家本。かつて読売新聞の夕刊にて連載された、1998年の読売文学賞受賞作品。20歳になったばかりの日本の青年ケンジが、歌舞伎町で12/29から大晦日までの3日間を過ごす、得体の知れないアメリカ人男性フランクのアテンドをすることになる。村上龍さんは本書が初読みだったのだけど、いきなりカウンターパンチをくらったような、刺激強めの作品だった。それにしても、フランクやべぇ… サイコパス過ぎる。恐ろしや…2019/10/11
hit4papa
88
残虐な手口で殺人を繰り返す外国人観光客フランクと、彼をアテンドする羽目になった主人公ケンジの数日を描いています。フランクの怪異な容貌と虚言癖、不可解な行動に不快感を募らせながらも、時折見せる沸騰した怒りの様相に戦慄を覚えるケンジ。フランクの手による殺人を疑いながらも逃げ出せないケンジは、ついに目の前で大量殺人の現場を目撃することになります。おぞましさ爆発、圧巻の殺戮シーンは読みながら怖気をふるいました。本作品はグロテスクなだけのサスペンスではなく、去勢されたが如くの今の日本人に対する著者の嘆きを感じます。2017/03/31
コットン
71
ダイビングに使うシリコンのマスクに似た感覚で、ひんやりと冷たい頬の持ち主フランクを歌舞伎町に風俗観光案内するケンジ。危険な男フランクの先が予測出来ない行動に思考停止となったり、逃げ出したいけど逃げ出せないケンジ。ダークなものが苦手な人にはおすすめしない。2020/03/09
いおむ
70
自分が今まで読んだ新聞連載の作品で唯一読み切った小説。当然一気読みだとより作品にひたれた。日本人のゆるさは今の時代に世界から取り残されている。でもゆるく生きられる国を、安らかに生きられる世界を造るのが願いの筈。しかしそこから生まれる矛盾。つくづく人間という種の未熟さをまた考えてしまう。2015/12/06
yumimiy
62
サイコホラーだろうと決めつけて読み始めていた。そもそもミソスープというワードを素直に味噌汁と捉えず、ミソは多分、脳みそでミキサーで撹拌して飲むのかな?あら、イヤだゎ、などと勝手に想像。主人公ケンジは外専の風俗ガイド、師走にアメリカ人フランクのガイドを引き受ける。だがフランクはかなりの変奇人、お見合いパブに案内すると店員、女、客をテキパキと殺戮。実はケンジの方が乖離性サイコパスで己の仕業をフランクがやった事と思い込んでいる。そう推理したが全くの頓珍漢でした。フランクの煩悩は除夜の鐘を聴くことで解放できるかな2019/09/20