内容説明
慶運宮・大漢門の横の道から貞洞に入り、教会を過ぎて、梨花学堂の向こうに建つ西洋式建物がソンタクホテルだ。伊藤博文統監が主催する晩餐会が催された翌日、ホテルの支配人が消えた!ソンタク女史はどこにいるのか?高宗皇帝の密使は万国平和会議に出席できるのか?
著者等紹介
チョンミョンソプ[チョンミョンソプ]
鄭明燮。1973年ソウル生まれ。大企業のサラリーマンやコーヒーを淹れるバリスタを経て、現在は多様なジャンルの文章を執筆する専業作家として活動中。2006年歴史推理小説『赤牌』全二巻で本格的に作家活動を開始。2013年第1回ジクソー小説文学賞最優秀賞を受賞。2016年第21回釜山国際映画祭でNEWクリエイター賞を受賞。現在「韓国ミステリー作家会議」や「無団(無境界作家団=境界のない作家団)」作家グループで活動中
北村幸子[キタムラサチコ]
立命館大学文学部史学科日本史専攻卒。30年間大阪の小学校に勤務。退職後渡韓、嶺南大学外国語教育院で日本語教師をしながら、啓明大学大学院日本学科修士卒。2010年に帰国後、オリニほんやく会で翻訳を学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rosetta
28
★★★☆☆多分韓国の子供向きに書かれた小説なのではないかと思う。1907年、大韓帝国を属国化しようとする日本の陰謀に立ち向かう16歳の少年正根と少女福林の物語。ロシア国籍を持つソンタク女史が開いたホテルは単なる宿泊施設と言うよりも皇帝に連なる人物達をもてなす迎賓館であった。その割には訳の分からない連中も宿泊している様子だが。行方不明になったソンタク女史を探す。別に反感を覚えて言う訳では無いがかなり小説として稚拙な部分が見受けられる。歴史とは見る側の視点に拠って様々な側面を見せる物である。2023/01/02
星落秋風五丈原
20
朝鮮王朝最後の王高宗の時代が舞台。李完用は別の短編にも登場。2023/01/19
かもめ通信
15
書評サイト本が好き!を通じてのいただきもの。1910年の韓国併合によって日本の植民地支配がはじまる3年前、1907年に実際に起きたある事件を元に創作された韓国のYA小説。歴史的建造物がならぶ貞洞通り(チョンドンギル) を舞台とし、歴史に名を残すそうそうたる面々を相手どって、10代半ばの若者たちが活躍する探偵物語は、筋運びに少々荒さはあるもののスリルたっぷり。次にソウルに行く際には、必ずチョンドンギルに行ってみなければとガイドブックに印をつけた。2023/01/11
みなみ
11
大韓帝国時代を舞台にしたヤングアダルト小説。16歳の正根はソンタクホテルでボーイとして働くことになる。ソンタクホテルはホテルといっても迎賓館のような存在。その支配人のソンタク女史が突然行方不明になり、正根は通訳をしてくれるヒロイン・福林と共に行方を追う。誰が敵か味方なのか、ちらちらと展開にヒントを貰いつつ、主人公たちはソンタク女史を追いかける。意外な人物が味方だったり敵だったりして面白かった。2023/05/28
ゆり
3
大日本帝国が大韓帝国の支配を強めていた時代が舞台。実在の人物や出来事をモチーフにしていて、胸が痛む描写があるのも事実。チョン・ミョンソプさんのミステリが読みたい、という“軽い”気持ちで読むべきじゃなかったと一瞬思ったけど、逆にこういう勢いが無ければ読めなかったかもしれない。「胸の痛む歴史だからとそっぽを向くと、同じ歴史をくり返すことになることを忘れてはなりません」という作者あとがきも胸に刺さる。2023/08/12
-
- 和書
- なぞのヘソ島 (第2版)
-
- 和書
- 歴史館でたどる早稲田大学