出版社内容情報
清冽な詩篇を残し、戦中の日本の獄中に27年の生涯を閉じた韓国の国民的詩人・尹東柱の足跡を辿り、その孤高の詩精神の核心に迫る。「死ぬ日まで空を仰ぎ 一点の恥辱(はじ)なきことを――」
清冽至純な詩篇を残し、戦争終結の半年前に日本の獄中にわずか27年の生涯を閉じた尹東柱。時局がら生前は1冊の詩集を出すこともかなわなかったが、関係者によって守りぬかれたハングル書きの詩稿は戦後になって出版され、韓国の国民的詩人となった。近年では日本でも毎年追悼行事が開かれるなど、日本人にも広く愛され親しまれている。
本書では、尹東柱の日本とのかかわりを中心に、日本留学中に治安維持法違反で逮捕・投獄され、1945年2月に“謎の獄死”をとげるまでの詩人の足跡を実証的に辿り、いくつかの知られざる事実を明らかにしつつ、また遺稿や蔵書を読み解き新たな視点からの作品解釈も試みながら、詩人の孤高の詩精神に改めて焦点を当て、その人、その文学の核心に迫る。
著者はNHKディレクター時代の1995年、「NHKスペシャル」で尹東柱のドキュメンタリー番組『空と風と星と詩――尹東柱・日本統治下の青春と死』を手がけ、以来二十余年にわたり尹東柱を独自に追い続けてきた。本書はその長年にわたる調査・研究の集大成。
はじめに
第1章 『病院』から『空と風と星と詩』へ――詩人誕生の秘蹟にあずかった日本語のメモ
第2章 「半韓」詩人がつづった「我が友」尹東柱(前編)――尹東柱と交際した日本詩人・上本正夫
第3章 「半韓」詩人がつづった「我が友」尹東柱(後編)――モダニズムとの邂逅と乖離
第4章 同志社の尹東柱。京都で何があったのか?――発見された生前最後の写真を手がかりに
第5章 福岡刑務所、最後の日々(前篇)――疑惑の死の真相を追って
第6章 福岡刑務所、最後の日々(後編)――永遠なる生命の詩人
第7章 そして詩と、本が残った――所蔵日本語書籍から見る尹東柱の詩精神
尹東柱略年譜
あとがき
多胡吉郎[タゴキチロウ]
作家。1956年東京生まれ。
1980年、NHKに入局。ディレクター、プロデューサーとして多くの番組を手がける。1995年、日韓共同制作によるNHKスペシャル「空と風と星と詩 尹東柱・日本統治下の青春と死」を制作。2002年、ロンドン勤務を最後に独立、英国に留まって文筆の道に入る。2009年、日本に帰国。
<著書>
『吾輩はロンドンである』(文藝春秋)、『リリー、モーツァルトを弾いて下さい』(河出書房新社)、『韓の国の家族』(淡交社)、『わたしの歌を、あなたに 柳兼子 絶唱の朝鮮』(河出書房新社)、『長沢鼎 ブドウ王となったラスト・サムライ――海を越え、地に熟し』(現代書館)、『漱石とホームズのロンドン 文豪と名探偵 百年の物語』(現代書館)他がある。
内容説明
清冽な詩篇を残し、一九四五年二月に福岡刑務所で獄死した若き詩人・尹東柱(享年二七)。日本でも広く愛される韓国の国民的詩人の足跡をたんねんに追い、最新の調査・研究成果をふまえ、その人、その文学の核心に迫る。
目次
第1章 『病院』から『空と風と星と詩』へ―詩人誕生の秘蹟にあずかった日本語のメモ
第2章 「半韓」詩人がつづった「我が友」尹東柱(前編)―尹東柱と交際した日本詩人・上本正夫
第3章 「半韓」詩人がつづった「我が友」尹東柱(後編)―モダニズムとの邂逅と乖離
第4章 同志社の尹東柱。京都で何があったのか?―発見された生前最後の写真を手がかりに
第5章 福岡刑務所、最後の日々(前篇)―疑惑の死の真相を追って
第6章 福岡刑務所、最後の日々(後編)―永遠なる生命の詩人
第7章 そして詩と、本が残った―所蔵日本語書籍から見る尹東柱の詩精神
著者等紹介
多胡吉郎[タゴキチロウ]
作家。1956年東京生まれ。1980年、NHKに入局。ディレクター、プロデューサーとして多くの番組を手がける。2002年、ロンドン勤務を最後に独立、英国に留まって文筆の道に入る。2009年、日本に帰国(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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